math

そろそろ死にたくなってきた人に捧げる雑文

昨年、小学校で教える「掛け算の順序問題」がインターネットで非常に話題になった。*1 *2 簡単に言えば、小学校で「リンゴが3個置かれた皿が5枚ある。リンゴは全部で何個か」という問題が出題されて、「式: 5×3 = 15 答:15個」と書いたら先生にバツをされ…

0÷0がよくわからない件

小学校の計算問題で「0÷0=」という問題が出て、(その教師の用意していた)答えが「0」だったらしく、その生徒の親に高校の数学教師が居て、「こんなの不定に決まってるだろ」と猛烈に抗議をしたが、その小学校の教師にはその意味が理解できなかった。それ…

以上と以下と未満と超えと

数学の世界で「5以上」とか「5以下」と書いた場合、5は含む。 しかし含まない言い回しが日本語で何というのが適切なのかよくわからない。 英語ならlessとgreaterなんだろうけど。 私は 「以下」のその数を含まないバージョンは「未満」 「以上」のその数を含…

アナロジーは簡単ではないという話

Steven PinkerのThe stuff of thoughtsにおもしろいクイズがあったので紹介してみたいと思う。 ヒマラヤの山奥のある宿屋には、主人と年配者と若者が行う茶の儀式がある。まず主人が格の低い方から順に三つの作業 - 火に薪をくべ、茶を出し、詩を吟ずる - を…

計算の速い子供が数学者に向いているのではないという話

プロのピアニストは、たいてい幼少のころからピアノを始める。 しかし、習い始めて最初の1,2年にやるバイエル〜ブルクミュラーあたりは、音楽的な感性を養うというよりは、譜面通りに指を動かして音が鳴らせるかの勝負である。いわば、譜面に書かれた音符を…

何故私は計算が小学校で一番速かったのか?

小学校のころ、私は四則演算が学校で一番速く出来た。そんな私だが、実は九九はほとんど覚えていなかった。 掛け算や割り算を速く行なうのに必要なのは九九じゃないことを私は知っていたからだ。 簡単な例を出そう。あなたは、40÷6をどうやって計算するだろ…

FF(16進数の掛け算)を覚えよう

最近、あるプログラマと話していて気づいたのだけど、彼は16進数の2桁と1桁との掛け算(FDh×5とか)が出来ない。やり方自体を知らないのだ。彼はWindowsの電卓を立ち上げて計算していた。 そのときは「プログラマでなくともこんなこと知ってて当然だろ!」と思…

『数学ガール/フェルマーの最終定理』

結城浩先生の数学ガールの続編が今月末に発売されるようです。 無料プレゼントの応募は今日まで! 前作の『数学ガール』は、高校生でも読めるぐらいわかりやすく書かれていながら、高校の数学や理系の大学の一般教養ぐらいではあまり扱わないような話題が多…

私が秋山仁が嫌いなわけ

しばらく考えていて、私が秋山仁が嫌いなわけがわかった。 昨日紹介した「皆殺しの數學」だが、#1にしても、ラスロウ・ロバースの定理そのまんまだし、もうちょっと一般的に知られている、世間で役に立つような数学にして欲しいという気がしないでもないけど…

皆殺しの數學

ニコニコ動画を見ているとついつい時間を浪費してしまう。ふと気になった動画をクリックしたらそれがシリーズものだったりして、また時間を湯水のごとく消費しそうだなと思い、気が付くと私の大嫌いな秋山仁が出てきたのだが、何故私が秋山仁がこんなにも嫌…

ポアンカレ予想

ポアンカレ予想とは「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S 3に同相である」という位相幾何学の予想であり、宇宙の形を推測する上で重要なものである。 ほぼ100年に渡り未解決だったポアンカレ予想が解かれたという話は知っていたが、これを解いたロシア人数学…

数学ガール

結城先生の「数学ガール」が待望の書籍化!!現在、予約受付中(6月末刊行予定)これはもう買うしか。

たけしのコマネチ大学数学科

1月4日の深夜24:55から「たけしのコマネチ大学数学科」が1時間スペシャルで放送されると聞いて、わくわくしながらテレビの前に鎮座した。アンガールズや数学オリンピック優勝者など豪華ゲストも登場するらしい。この番組、一度も見たことがなかったこともあ…

博士の愛した数式

映画「博士の愛した数式」を見た。若きシングルマザーの家政婦と80分しか記憶の持たない数学者の話だ。小川洋子の原作のほうであらすじは知っていたのだけど、どんな風に映像化するのかに興味があった。 この物語のなかの博士は、整数論を自分の研究分野とし…

ツンデレですか?

「ツンデレで学ぶ平面幾何」かと思ったら、「シンデレラで学ぶ平面幾何」だった。 シンデレラとは幾何学のための作図ソフトである。このソフトが超スゴイ。もともと、この作者のユールゲン氏は、幾何学の定理をコンピュータによって証明するための記号的方法…

統計科学の時代がはじまる(らしい)

以前、株ロボのときに紹介した岩波の「統計科学のフロンティアシリーズ」(id:yaneurao:20050809)だが、このたび、12巻「計算統計 II」が出て、ついにシリーズ完結となった。 12巻の帯には「統計科学の時代がはじまる」とか書かれていて、どこまで冗談なのか…

5×5 プロフェッサールービックキューブ

5×5のルービックキューブが発売された。その名も「5×5 プロフェッサールービックキューブ」 3×3ならflashで遊べるものがある。 http://www.rubytooth.com/media/37407/ 5×5のも↑のような操作性のものを作ればいいのだが、あまりやりすぎてしまうとルービック…

暗算の本が馬鹿売れ

即効マスター マジカル計算術" title=" 即効マスター マジカル計算術" class="asin">いま、左の暗算の本が書店で馬鹿売れしているらしい。アマゾンでの売り上げはそれほどでもない。 いま、また受験ブームなのだろうか? 否。私と同じ、第二次ベビーブームの…

ミルカさん

先日紹介した結城先生のミルカさんシリーズ(id:yaneurao:20051010)だが、高橋メソッド*1での紹介ページが出来た。http://takahashimethod.com/?module=BBS&action=ShowFlash&id=208 そうか..ちょっとツンデレなのか..。 「ツンデレ」を知らない人は、こちら…

これなら分かる最適化数学

以前紹介した超お勧め数学書である「これなら分かる応用数学教室」(id:yaneurao:20040322)だが、シリーズ続編が発売になった。 その名も「これなら分かる最適化数学」線形計画法から非線形最適化、動的計画法まで高校卒業程度の数学の知識で勉強できちゃう良…

プログラマの数学

結城先生の新刊が出ていたので、本屋で立ち読みしてきた。ひとことで言ってしまえば、文系プログラマでもわかる数学本という感じだ。 言及・感想・分析リンクは、こちら→id:hyuki:20050403#math 私の場合、ほとんど知っている内容だったので、買いはしなかっ…

中学生でもわかるGoogleのPageRankの仕組み

4月1日に日記で何か書いてもまるで真実味を帯びないので、それならばと、テキトーに書こうと思うのだ。 今日書くのは、GoogleのPageRankの仕組みである。これを限りなくわかりやすく、それこそ中学生にでもわかるように書くのが今日の目標だ。 近年、blogが…

暗算必勝法(5)

そろそろまとめに入る。id:lanigさんが2桁ごとに区切って掛け算する方法について書いている。つまり、(100a + b)×(100c + d) = 10000(ac)+100(bc+ad) + bdと計算しましょうというわけだ。2桁同士の掛け算に帰結できれば、(それに慣れていれば、いくつかの場…

暗算必勝法(4)

昨日の日記のコメントでいろいろ意見をいただいたが、このままもう少し話を進める。いままで出てきた公式は、次の2つだけで、この手の式変形では、この2つが主役なのだ。 1.(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2 2.(a+b)(a-b) = a^2 - b^2 1.の公式の場合、b=5だと、2a…

暗算必勝法(3)

そして3桁の二乗の計算だ。3桁の2乗にチャレンジするころには、2桁の数の2乗はだいたい覚えているはずだ。だって、1桁の2乗は九九にあるし、1の位が0なら覚える必要ないし、1の位が5の場合はさきほどの方法で求まるので実質、覚えなくてはならないのは99-10-…

暗算必勝法(2)

2乗の計算だが、1桁のものは九九があるから割愛しよう。 2桁のうち10の位が1のものは、(10+n)(10+m) = 100+10(n+m)+nmの計算が使える。 この手の展開公式を使なら、(10n+m)^2 = 100 n^2 + 20nm + m^2 なんだから、2桁の数の2乗は楽勝のはずだ。でも、実際は…

暗算必勝法(1)

暗算は一種の謎ときのような楽しさがある。ある程度熟練してしまうと、おそらく直感的に答えが出せるようになるんだろうけど、私の場合、そこまで熟練していないので、計算のために式変形をあれやこれやして答えを出す。それがまた面白い。 ここで言う暗算と…

受験生、超がんがれ!

1月15日16日は大学のセンター入試らしい。そんなわけで受験生への応援メッセージ代わりに三角関数についての思うことをだらだら書く。 高校までの数学の教科書は、実に効率的でない。基礎の土台を積み重ねていこうとする。既知の手順からはじめようとする。 …

正月には数学!

去年はちーっとも自分の勉強時間がとれなかったので、今年は仕事を減らして自分の時間を確保したいと思っている。とりあえず積読状態にある数学関係の本を片付けたい。とりあえずそう思い立ったが吉日もとい正月。 とりあえず、調和解析やら超幾何関数やらグ…

今日は音声認識をやっちゃうゾと

そんなわけで、ある音を認識するプログラムを書かなければならなくなった。まあ、たいしたものではないのでこんなもんはFFTでもかけておけばヨロシイのである。 フーリエ変換の場合は領域境界の影響で高調波が出るので、求めたい領域の近傍に大きな重みをか…