将棋の神様のレーティングはいくつなのか?


羽生さんは以前、雑誌の取材で将棋の神と対局したらどれくらいの手合であるかと問われ角落ちならいい勝負だろうと答えた。


では、この将棋の神様のレーティングはいくらなのか?


一見、神様には無限のレーティングがつくかのように思えるが、それは間違っている。話を単純化するために、枝刈りなしに深さ固定でmin-max探索を行なうときのことを考える。


評価関数はBonanza以下の精度しかないものとする。この場合、読みの深さが1手深くなるごとにR100〜150程度しか上がらない。少し多めに見積もって、R300上がるとしよう。実際はある程度以上探索深さが深くなると読みが1手深くなったときのレーティングの伸びも小さくなっていくのだが、ここでは均等にR300ずつ上がり続けるとしよう。そして3手読めばだいたいR1000ぐらいである。計算が面倒なのでここはR900ということにしよう。ということは、大雑把には次のように計算できる。


棋力 = 探索深さ×R300(実際はこれより小さい値である)


プロ棋士で双方がそこそこ最善を尽くした場合、130手ぐらいで終局するので、130手で必ず将棋が終局するものとすると、R300×130手 = R39000ぐらいの値が将棋の神様のレーティングである。(実際は130手を超える変化があるのでもう少し大きな値である可能性もある)


仮に電王トーナメントのような256手引き分けルールの元では、上限はR300×256手 = R76800。これはかなり大きめに見積もっている値なので、実際はR20000ぐらいが将棋の神様なのかなと私は思っている。


人間から見ると、R5000もR20000も(どちらも勝率1%すら勝てないという意味では)さほど大差ないので、仮に羽生さんがR20000のソフトと角落ちでいい勝負だとしたら、R5000のソフトとやっても同じく角落ちぐらいの手合でいい勝負ではないかと私は思う。


R5000のソフト…いま上位のソフトがR3700〜4000付近にあるとして、あと5年以内ぐらいでR5000には到達しそうであるが、駒落ちのプロの棋譜は少ないため、棋譜からの学習を用いているいまの将棋ソフトは駒落ちはそこまで強くないかも知れない。この問題が5年以内に解決するのかどうかは私にはよくわからないが、駒落ちも平手と同様の棋力を保っている将棋ソフトが完成すれば、5年後には羽生さんは角落ちで互角。とりあえずそういう結論になる。