受験生、超がんがれ!

1月15日16日は大学のセンター入試らしい。そんなわけで受験生への応援メッセージ代わりに三角関数についての思うことをだらだら書く。


高校までの数学の教科書は、実に効率的でない。基礎の土台を積み重ねていこうとする。既知の手順からはじめようとする。


そもそも三角関数の三角とは何だ?三角形か?sinとcosを三角形を用いて定義するのはいいかげんヤメナイか?鈍角になったときに、無理な説明をしないといけなくなる。もう最初から単位円上の座標を(cosθ,sinθ)と定義して、「円関数」という名前にしたほうがよっぽど筋が通っていると思う。*1 そうすれば、単位円上の点なんだから、(cosθ)^2 + (sinθ)^2 = 1は自明だ。


つぎに出てくるのは加法定理だ。

sin(α+β) = sinαcosβ + cosαsinβ

ちょうどこれを習うのが高校二年のときで「さー(sin)来い(cos) 高(cos)三(sin)」とか言って語呂合わせを教えてもらったことがある。これのcos版は、

cos(α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ

なのだが、sinのほうだけ理解していれば、sinのほうからcosのほうを導くのはβを定数とみなしてαで両辺を微分するだけのことだ。でも、加法定理を学ぶときには微分を教わっていないから、決してこのことを高校の授業で教わることはないだろう。(逆にcosを微分したときにマイナスがつくかどうかを忘れたときにも、加法定理を思い出せばいい。)


もちろん、複素平面に持ち込めば、加法定理は単なる回転に過ぎない。2倍角の公式だってn倍角の公式だってオイラーの公式 e^(iθ) = cosθ + i sinθ を用いれば一発で求まる。そもそも加法定理は何のために習うのだ?高校の教科書を見ると、どうもsinとcosの導関数を求めるときに、導関数の定義から{ (sin(x-h) - sin(x))/h } , h→0 を求める必要があって、この分子の計算のために加法定理を使いたいがためのようだ。


もうイイヤン、そんなのあとまわしで。そんなん覚える必要ないやん。もっと先まで勉強して必要だったら戻ってきて覚えようよ。そう思わずにいられない。

*1:これは数学30講シリーズの志賀浩二先生のアイデア