博士の愛した数式

博士の愛した数式

映画「博士の愛した数式」を見た。若きシングルマザーの家政婦と80分しか記憶の持たない数学者の話だ。小川洋子の原作のほうであらすじは知っていたのだけど、どんな風に映像化するのかに興味があった。


この物語のなかの博士は、整数論を自分の研究分野としているようで、階乗・素数友愛数の話が出てくる。そして、この博士の愛した数式とは、オイラーの公式 e^{i\pi} = -1 であり、この数式が作品上、深い意味を持っている。


作品後半では、オイラーの公式e^{i\pi} + 1 = 0と変形された形で出てくる。実際、オイラーの公式は、こう変形することで、


0 : 加法の単位元(何かの数字に0を足しても元の値と変わらないから)
1 : 乗法の単位元(何かの数字に1を掛けても元の値と変わらないから)
π : 言うまでもなく円周率。直径と円周との比。
e : ネイピア数。自然対数の基底。
i : 虚数単位。


という数学上大切な5つの定数が一堂に会する。(作品中には、0と1に関して上記のような説明は無いが) オイラーの公式が、このような美しい形で成り立ち続けるように、博士の記憶も17年前の形のまま、いつまでも変わらずにあり続けるのだ。