【音楽】タイとスラーの見分けがつかない【欠陥】
「タイとスラーの見分けがつかない」と言うと、また馬鹿にされるんだろうけど、これ結構マジの話だ。
小学校の音楽の時間にタイとスラーという記号を習った。
・タイ → 同じ音高の音符をつなげて、ひとつの音として演奏する。
・スラー → 異なる音高の音符がなめらかに(つながるように)演奏する。
簡単に言うとそういう記号だとして習った。
どちらも表記法は同じだけど、音高が同じか異なるかで見分けるのだと。
私は当時この説明を聞いたとき、「即座にこれはおかしい」と思ったし、「この表記法には重大な欠陥がある」と思った。
例えば、次の図はタイなのか、スラーなのか?
2小節目の音符がシの音なのかシ♭の音なのかは実はわからない。
シの音だとしたら、これはスラーだ。
シ♭の音だとしたら、これはタイである。
臨時記号(♭)は普通その小節でのみ有効なのだが、タイでつながれている場合は、小節線をまたいでも臨時記号を省略していいという規則があるので、上の図だとどちらか確定しないのだ。
つながれた二つの音が同じ音高かどうかが確定しないと、スラーかタイかが確定しないのに、スラーと解釈するかタイと解釈するかで、二つの音が同じ音高かどうかが変わってくるというトートロジーになっている。
「小節線をまたぐタイを用いる場合でも、次の小節で臨時記号を省略してはならない」とするべきだったのか?いや、それはそれで表記が面倒だろう。気軽にタイが使えなくなるのは嫌だ。
楽譜上、タイかスラーかどうしても紛らわしい場合は、タイには「tie」、スラーのときは「slur」と記号の側に表記していいことになっている。
しかし、私はいまだかつてそんな楽譜を見たことが無い。たぶん楽譜を書く人は「前後関係とかからタイかスラーかぐらいは見てわかるから書かなくてもわかるだろ?」と言いたいのだろうけど、音楽的な知識に乏しい者にはその判断が難しいことも多々ある。*1
あと、スラーとタイとで円弧の方向を上と下とに描きわけてある楽譜や、タイは横幅を小さめにしてあるような楽譜も目にすることがある。これはなかなか面白いアイデアだが、あまり一般的に使われているとは言い難い。
さて、こういう楽譜の表記法の欠陥とか改善とかを管理してくれる団体はどこかいな…。
そろそろ、ISOで国際標準を定めてもいいと思うのだが。
*1:常識的には、上の図のようになっていれば99%タイであって、これをスラーと解釈して欲しいなら、近くに同じ音型でスラーを使っておくとか、「slur」と注記するかすべきだとは思う。