大人のためのピアノ入門(9)


前回の続き


■ どれくらい複雑なリズムが要求されるのか?


実際的に3つ以上の複合リズムが必要になる場合はほとんどない。つまり、ビートを2と3と5で同時に分周するようなリズムパターンが必要になることはほとんどありえない。


せいぜい2と3か、8と6などである。そのため、それ以上難しいリズム訓練はあまり重要ではない。


■ 打鍵の強弱について


その代りピアノでは、小節やフレージングによる強弱や、スラー、スタッカート、マルテラート、アクセントなどのアーティキュレーションを要求される。これがとても難しい。


それどころか、人間の5本の指はそれぞれ非対称だから、それぞれの指で均一な強さで押すだけでもひと苦労である。



ピアノ奏法20のポイント―振り付けによるレッスン


電子ピアノだとあまりわからないが、アコースティックピアノでは、押し下げたキーから指を離す速度によってずいぶん違った音色になる。キーが完全に戻りきるまでは、そのキーに対する弦は、(弦の振動を保つために)ダンパーが離れた状態にあり、このため、他の音と共鳴する状態になっている。


共鳴するということは、それによってアウトプットされる音も違うので、当然異なる音色になってくる。このため、音を均一にしようと思えば、指でキーを押す時の速度と強さだけでなく、指をキーから離すときの速度と強さについても均一でなければならない。


電子ピアノだと、このへんの感覚が養われないので、本格的にピアノをやるつもりなら、なるべく早い段階でアコースティックピアノでの練習に切り替えることが望ましい。


ハノンの副読本としてお勧めしたいのは、「ピアノ奏法20のポイント」と「コルトーのピアノメトード」の二冊である。