大人のためのピアノ入門(8)

前回の続き。


■ ビートを分周する訓練のコツ


最初は、ビートを2で分周する。2ができたら、2を2でさらに分周する。つまり4ができるようになる。4ができたら、2の2の2 = 8や、2の2の2の2 = 16などもやる。


次にビートを3で分周する。3ができると3を2で分周して6で分周することができるようになる。3の3で9とか、3の4で12とかもやる。


2,3に続き、5,7,11,13,17,…は素数なので5,7,11,13,17,…はこれはこれで訓練しなければ出来るようにならない。


しかし、現実的に5,7,11,13,17のような連符が出てくる曲に出くわすのは稀であり、これらの訓練は必要に迫られない限りやらなくていいと思う。


逆に言えばほとんどの曲は2,3で分周されたリズムユニットを用いているので、この二つだけ徹底的に行なっておけば良いだろう。


■ 複合リズム


この訓練が終わったら、右手と左手とで独立した分周パターンに取り組む。右手は3で分周し、左手は4で分周するであるだとか、右手は8で左手は6だとか。


それに慣れてきたら、右手を4で分周し、その1つ目と3つ目とでは右手で膝を強めに叩いてみよう。同時に、左手は3で分周し、その1つ目と3つ目とで左手で膝を強めに叩いてみよう。


右手 : ◆◇◆◇
左手 : ◆ ◇ ◆


分周した特定の箇所でのみアクセントを置く訓練である。例えば、8で分周して、1,4,7でアクセントをおく訓練などは、3拍どりのフレージングの練習となるし、8で分周して1つ目や3つ目や5つ目を休符(手で膝をたたかない)にして、シンコペーションの練習にしたりする。


このように段階的な訓練が出来るように自分で課題を作成し、少しずつステップアップさせていく。曲のリズムパターンだけ取り出してきて、それだけを徹底的に訓練するのもとても良い練習法である。


リズムと音高とは別の概念なので、別個に練習するのが良いと思うし、曲からリズムと音高とを分離して個別に訓練するのが良いと思う。


リズム訓練が正確に出来ていないのに、特定の曲を弾きたいがために、高難度なリズムを要求される曲だけを集中的に練習するのは、自分のできる範囲を超えているので段階的な訓練とは言えないし、訓練次第でその曲は弾けるようになるかも知れないが、あまり賢明とは言えない練習方法だと思う。


(つづく)