SafeSyncその後わかったこと


前回記事
容量無制限オンラインストレージSafeSyncを使ってみた
http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20101216
の続きをだらだらと書いていく。


■ あらたにわかったバッドノウハウ


★ ひとつのフォルダに100個以上ファイルを配置しないほうがよさげ


100個以上配置するとiPhoneのSafeSyncアプリで見たときに100個ごとにLoadingと表示され、すべてのファイルを表示するだけで結構時間がかかる。


SafeSyncのサイトでは100個以上になると一度に表示されない。(画面左端のフォルダツリーには表示されているのだが) 私は最初、ファイルが同期されていないのかと思った。よく見たら100件までしか表示しないようなUIになっていた。ちなみに次の100件を見るには↓のボタンを押す必要がある。このへん、独自UIばかりでしかも色使い等々が大変わかりにくいのだが…。



★ ファイル、フォルダ数は少なく保つ


SafeSyncのクライアントアプリ(hrfscore.exe)が使用しているハンドル数は
( SafeSyncのドライブにあるファイル数 + フォルダ数)×3
ぐらいになっているようだ。


これはおそらく差分アップロードのため、ファイルの書き換えを監視するためにファイルをオープンしているのだろう。(仮想ドライブと同期ドライブとキャッシュフォルダ で3倍なのか?よくわからん…)


ともかく、ファイルがたくさんあるとたくさんのハンドルがオープンされることになり、ネットブックのような非力なパソコンではこれが結構な負担になると思う。


ファイル、フォルダ数は少なく保ったほうがいいと思う。
(しばらく使う予定がないフォルダはzipに圧縮しておくなど。)


★ ファイルサイズは2GBぐらいまでにしておく


2GB以上のファイルはアップロードが失敗しやすいという報告があった。
[あとで検証する]


★ 大きなフォルダのアップロードは別PCから行なう


大きなフォルダのアップロードをメインPCでやってしまうとその間、他のファイルの同期が取られないので以前のバージョンに戻せなくて困る。


そこで大きなフォルダはまず別PCからアップロードする。(直接SafeSyncのドライブにファイルをコピーする) そして、アップロードが完了してからメインPCとフォルダ同期の設定をする。


★ ファイルロックされて困るファイルは同期させない


SafeSyncのクライアントアプリは、ファイルのアップロード中にそのファイルをlockするようだ。


例えば、秀丸でテキストを編集するときCTRL + S でこまめに保存するとしよう。CTRL + Sを押した瞬間、ファイルは更新して保存される。秀丸はそのあとこのファイルはlockしていない。だから、SafeSyncはアップロードを始める。しかしアップロードは一瞬では終わらない。このアップロード中に、秀丸でCTRL + Sで保存しようとしたときに、ファイルがlockされていて書き出せないので書き出しエラーになる。


iTunesでミュージックフォルダを同期させた場合、iTunesは曲を再生したときに再生回数の更新のために再生回数を記録しているファイルを書き換えるが、上の理由によりその書き換えに失敗してエラーが出ることがある。


この手の同期サービスではshadow copyをアップロードするのが基本だと思うのだが、どうやらそうはなっていない。SafeSyncのクライアントアプリの今後のアップデートでなおるかも知れないが、いまの段階では運用の仕方に気をつけなければならない。


★ プロバイダによってはアップロードしすぎで警告が来る


4Mbpsでアップロードし続ければ1日で43.2GBなのだが、OCNは1日のアップロードが30GBを超えると警告が来るらしい。


2chのSafeSyncスレより転載。


30GBぐらいで警告が来るのはOCNぐらいかも知れないが…。


ちなみに、ファイルを4個並列でアップロードすれば4Mbps程度なのだが、平均的にはもう少し少ない気がする。小さなファイルは6,7個ぐらい並列でアップロードするようなのだが、大きなファイルは3個しか並列アップロードしない気がする。(きちんと測定はしていないが) つまり平均的には3Mbps弱ぐらいしか出ておらず、普通にSafeSyncのクライアントアプリを使っている分には1日のアップロード量は30GBに収まるとは思う。


■ ファイルのアップロード帯域についての調査


SafeSyncのクライアントアプリで意図的に帯域を絞っているようだ。
WebDAVクライアントを複数立ち上げて転送すれば帯域制限には引っかからない。


また、複数PCから複数のファイルを並列的にアップロードすればその分だけ早く転送できる。


VirtualBoxのような仮想PCを何十個も立ち上げて、そのなかで一斉に転送すればそこそこ早く転送できる気はする。(この行為は利用規約違反かも知れないので注意!)


まあ何にせよ、大きなフォルダのアップロードはサブマシンでやるのが良いと思う。メインマシンで大きなフォルダのアップロードをやるとその間、他の作業中のファイルなどのアップロードがされなくて、ファイルの以前のバージョンを復元したいときに困るからである。


■ 差分アップロードについて


SafeSyncの標準のクライアントアプリは差分アップロードをやっているのかという問題についてわかったことがある。


私の使っているOutlook2007のメールフォルダは、メール形式(.pst)で1.7GBあるのだが、Outlook2007でメールを一つ受信すればこのファイルは更新される。このフォルダをSafeSyncで同期させればどうなるか試してみた。


まず同期させ、SafeSyncで「すべて最新です」の状態にして、メールを一つ受信してOutlook2007を終了させた。


SafeSyncの「詳細」画面では、このファイルのアップロードを「準備しています」という表示のまま5分ほど待たされ、アップロードが開始した。アップロードは3分程度で終わった。


つまり、差分アップロードはきちんとされているという風に見える。
確認のため、ダウンロードしてバイナリ比較したら確かに最新のものになっていた。


Windows Live Syncなどではうまく差分アップロードできなかったのでメールフォルダの差分アップロードが出来るようになったことは本当に嬉しい。


WebDAVとして使う。


UIがひどいことはもう何度も何度も書いた。使えば使うほど嫌なところが目につく。しかし最後の手段がある。それはすなわち、WebDAVとして使えるということだ。


WebDAVの実装に関して、VistaWindows7もいい実装になっているとは言い難いので、CarotDAV(→ http://rei.to/carotdav.html )のような比較的まともな実装になっているものを使うといいだろう。


CarotDAVを導入して、SafeSyncのWebDAV(非公開?)である
https://dav.safesync.jp/
に直接アクセスするといい。IDはSafeSync登録時のメアド。パスワードは、SafeSyncのパスワードを入れれば使える。


CarotDAVを用いてファイルをダウンロード、アップロードが出来ることは確認した。アップロードした直後に警告が出るがIgnoreをすれば問題なくアップロードは出来ているようだ。CarotDAVを用いてアップロードすると、当然ながらZ:にも自動的にそのファイルが追加されるし、Z:と同期させているフォルダであれば当然そこにも自動的にそのファイルが追加される。


単純にストレージとして使いファイルを転送するだけならば、WebDAV経由でアクセスしたほうが余計なイライラはしなくて済むと思う。


iPhone用のSafeSyncアプリ


iOS用がリリースされたので早速試してみた。


フォルダ表示 → そこそこ速い
テキストファイル表示 → utf-8に対応しておらず文字化け
ダウンロード速度 → そこそこ速い
画像ファイル → png,gif,jpgは表示出来た。
画像サムネイル表示 → バグっているのか、サムネイル表示されないもの多数。(サーバー側でサムネイルを作る作業が終わっていないからか?)
htmlファイル → 一応レンダリングはされる。画像などは当然表示されないが。
音声ファイル → wma,mp3再生可能、mid,wav,mp4再生不可能
動画ファイル → avi,flv再生不可能。(サーバー側でストリーミング用のファイルを事前に作る作業が必要で、その部分が未実装なのではないかと思う。)
pdf,xls,pptなど → 表示可能。iOS側で対応しているファイルなら表示できるのだと思う。要するに上記以外でSafariで開けるファイルなら開けるし、Safariで開くとSafariが落ちるようなpdfファイルなら落ちる。


フォルダを開こうとするとエラーメッセージが出て開けないことがある。何度かやっていると開ける。
ダウンロード中にハングすることがある。アプリを終了させて、再起動すると一応なおる。


テキストファイルが開けないのは痛いし、アプリの出来が悪すぎる。


GoodReaderなどがSafeSyncに対応してくれるのを待ったほうがよさげ。ただしいまのままでもGoodReaderには任意のWebDAVと連携する機能があり、これを使えばSafeSyncからGoodReaderに直接ダウンロード出来るようだ。→ 後述。


iPhoneのGoodReaderからアクセスする


GoodReaderには、WebDAVにアクセスする機能があるのでこれを用いる。設定は以下のようにする。


Connect to Servers → Any WebDAV Server
Readable Title : [タイトル名く。「俺用SafeSync」など。]
URL-address : https://dav.safesync.jp/
User : [SafeSyncの登録メアド]
Password : [SafeSyncの登録パスワード]
Chunked transfer : OnでもOffでも


転送速度は転送し始めがかなり遅い。100KBぐらいのファイルでも10秒〜20秒かかる。
アップロードは動作不安定。エラーが出てアップロードに失敗することのほうが多い。(WiFi回線にてテスト)


■ 動画のストリーミング再生


一部のmovファイルはSafeSyncのサイトでクリックするとブラウザ上でストリーミング再生された。(されないものもある。同じデジカメで撮影した同じフォルダに入っている動画なので何がどう違うのかよくわからない。詳しい条件については調査中)


また、そのストリーミングできたファイルはiPhoneのSafeSyncのクライアントでストリーミング再生された。YouTubeを再生したときみたいな感じでときどき再生がつっかえることはあるが、まあ見れなくはないレベル。


私はWiFiでテストしたが、3G環境でも普通に見れる速度で再生されるらしい。よくは知らん。


Dropboxとの相互運用について


いろいろ試してみてわかったのは、SafeSyncの純正クライアントは、この純正クライアントが立ち上がっていないときにSafeSyncの同期対象のローカルパソコンのフォルダに加えられた変更を追跡できないということだ。


つまり、SafeSyncの純正クライアントが立ち上がったあと同期の開始が行われるまで、同期対象のフォルダをいじってはならないということだ。


DropboxのフォルダをSafeSyncで同期させると何がまずいのか。


Windowsのログオン後、SafeSyncとDropboxが同時に起動する。しかしSafeSyncのほうがスタートアップが遅いので、SafeSyncがフォルダを監視できる状態になるまでに時間がかかる。Dropboxはすでに開始しており、他パソコンで加えた変更が反映され始める。その変更が、SafeSyncには追跡できない。ここで加えられた変更のため、SafeSyncは誤動作する。


つまり、Dropboxは手動で起動するべきで、SafeSyncで同期の監視が始まるのを待ってから、Dropboxを立ち上げるべきなのだ。これで万事うまく行く。同じ理由により、OSのシャットダウンのときはDropboxを先に手動で停止させたほうが無難。


これが私が試行錯誤のすえ、得た結論だった。


あと、Dropbox内のファイルを他のパソコンにインストールしたDropboxで変更した場合、そのファイルがいつまで経ってもSafeSyncにアップロードされないことがある。詳しい理由は調査中。[あとで追記する]


■ 容量無制限の話


SafeSyncのドライブの容量表示が1.46TB(1500GB)になっている。


SafeSync公式のFAQによると、見かけだけそうなっているという話だったが、どうもそうではないようだ。ごみ箱の容量も含めて1.46TBまで転送するとそれ以上のアップロードはSafeSyncのサーバー側から拒否されるようだ。


・2011/01/17追記


問い合わせた人が居て、サポートから返信が来たらしい。いっぱいになれば申請すれば容量を追加してくれるとのこと。
http://jp.trendmicro.com/jp/support/personal/safesync/faq/storagelimit/index.html


■ タイムスタンプ問題


アップロードの方法によってタイムスタンプを保持しないことがあるようだ。WebDAVクライアントからだと、WebDAVの仕様上、タイムスタンプを保持できないのはまあ仕方ないとしても、正規の方法でも次のような仕様になっているらしい。


2chのSafeSyncスレより引用。

純正のクライアントソフトでも、アップロード方法で差が出る。
とにかくトレンドマイクロが用意した方法でも差が出るんだ。

1)同期設定でアップしたもの 
  → ローカル側のタイムスタンプ保持
2)ネットワークドライブのウィンドウに放り込んだもの
  → タイムスタンプがアップロード日時に変更
3)ブラウザでSafesyncのサイトから(JAVAで)放り込んだもの
  → タイムスタンプがアップロード日時に変更


■ かきかけ

// 以下かきかけ。あとでここに追記する。
・サムネイルのことなど
・fileのconfilcted copy
・レジューム機能のこと
・移動させたファイルのこと
・転送のキャンセルについて
・BitKinexのこと
・いつまで待っても転送されないファイルがあること
サスペンドから復帰するとSafeSyncの純正クライアントが不正終了することがある件


■ 雑感


・サービスが開始されて2週間程度が経過したが転送速度はいまのところそれほど落ちておらず。
・Outlook2007のメールボックス(.pst)が差分バックアップされていたのには驚いた。これは便利かも知れない。
・もしサービスが1ヶ月後に終了すると告知されても、WebDAVクライアントを複数立ち上げて全力でダウンロードすればいいやと思ったので、それほど重要でないファイルはサブPCからどんどんアップロードしている。
・DVD-RやBD-R等に焼いたファイルも読めなくなる可能性があるので、今後はついでにどんどんアップロードしようと思う。
・SafeSyncのサイトをブラウザで開いて、写真フォルダを見たときにサムネイルが表示できるのは便利。
・SafeSyncの公式クライアントアプリはやや重いが(ネットブックではCPU負荷的にも少し辛い)、アップロードさえしていなければそこまで重いわけではないのでまあいいかと…。


結局、用途を選べば、SafeSyncは結構使えるのではないかと思った。



■ 追記(2011/02/24)


2011年2月になって100GB以上、データをクラウドストレージに置いていると帯域制限されるようになった。この帯域制限がひどく、バグなのか何なのかわからないのだが、ファイルが全然アップロードできない。現在、トレンドマイクロからの告知待ち。


→ 2011/03/03ぐらいから回復した模様。


■ 追記(2011/03/09)


容量無制限の終了のお知らせ
↓↓

http://www.trendmicro.co.jp/support/news.asp?id=1538


やはり容量無制限ではサービスが立ちゆかなくなったのだろう。
とりあえず、2011/3/9までに購入したユーザーは1年間は容量無制限で使えるわけで、ある意味勝ち組なのかも知れない。