Windows Live Syncで構築するバックアップ環境


結局、Dropboxでは容量制限が厳しいのでオンラインストレージをバックアップ目的で使うのには無理があることがわかった。以下では私がやっているバックアップの方法を紹介する。


Dropboxに似たサービスとしてMicrosoftWindows Live Syncというのがある。


無料サービス“Windows Live Sync”で複数PCのファイルをらくらく同期!
http://www.forest.impress.co.jp/article/2009/05/28/live_sync_sp.html


こちらは、複数のPCでファイルを同じ状態に保つのに適している。無料のサービスだが、ファイルサイズに制限はないので1つのファイルが1TBでも2TBでも何の問題もない。


ただし、サーバー側にファィルが保存されるわけではなく、あくまで複数のPCでファイルを同期させるだけなので、2台以上のPCが同時に立ち上がっていないと意味がない。前の状態に戻すことも出来ない。


私は以前はSyncToy v2.0で外付けのHDDとsyncさせていたのだが、定期的にsyncさせるのが面倒だし、物理的に離れた場所にあるパソコンとsyncさせないと何らかの災害時(火事や地震、盗難etc…)にまとめて紛失する可能性があるので実家のパソコンとsyncさせるためにWindows Live Syncを使っている。


しかしWindows Live Syncを使い続けて、いろいろ欠点が見えてきた。


・LiveSyncは、syncが完了してるフォルダがどれだかさっぱりわからない。ブラウザでWindows Live Syncのサイトにアクセスすれば確認は出来るが、さすがにそれは面倒くさい。Dropboxならフォルダにチェックマークがつくので一目瞭然なのだが。


・細かなアクセス制御が出来ない。実家のパソコンのほうはバックアップ用なのでreadonlyでsyncさせたいが、同一アカウントだと片方のPCをreadonlyにすることは出来ない。パソコンごとにアカウント(Windows Live ID)を別に用意すれば片方のPCをreadonlyに出来るのだが、最初私は気付かなかった。


Windows Live SyncはWindowsにログインしてないと使えない。少し面倒くさい。バックアップ用のパソコンはバックアップをとりたいときに電源を入れて、syncが完了したら電源をオフにしたいのだが。


・ファイル数は20000まで。syncできるフォルダは10個まで。つまりファイルは最大で2万個×10フォルダ=20万個まで。この制限はゆるいように思えるが、私はファイル数制限にときどき引っかかる。そのたびにファイルのたくさんあるフォルダをzipで圧縮して、元のファイルを削除している。これが結構面倒くさい。


Outlookのメールフォルダもbackupのためにsyncさせることにしたのだが、メールを一個受信するごとにメールフォルダにあるメールボックスのファイル(pstファイル)をまるごとsyncしているPCに送信する。私の場合、このファイルは4GB程度あるので、1KBのメールを受信しただけで4GBまるごと実家にあるパソコンにアップロードする。トラフィックが無駄すぎる。あと、こんな大きなファイルをノーパソとsyncさせるとメールをひとつ受信するごとに4GBも書き込むので、ノーパソのSSDの寿命が一気に縮みそうだ。


・バックアップ目的で使うなら要注意。HDDの一部が破損して、ファイルが正常に読めない状態でそれをsyncさせると、もう片方のHDDのほうもファイルはおかしくなる。つまりDropboxと異なり、サーバー側にコピーを持っていないのでバックアップ用途で使うと痛い目に遭う。


また、バックアップ用のPCはreadonlyにしておかないと、バックアップ用のPC側のHDDが破損して、それとsyncするとメインのPCのファイルも破損する。全然バックアップの意味をなさない。むしろリスクが増大している。


つまり「3台でsyncさせておけば大丈夫!」とか思ってsyncさせてても、どれか一台のPCのHDDが壊れると残り2台も巻き添えを食うわけだ。ゆえにバックアップ用のPCは必ずreadonlyにするというのと、定期的に別途バックアップをとるようにするか、バックアップ用のPCは(メインPCのHDDが破損してそれをいきなりsyncされても困るので)普段は電源を落としておくとかそういう運用になる。


そこで、私が考えたのは、バックアップ用のPCのHDDの容量に余裕を持たせておいて、復元ポイント用の領域をかなり大きめに確保することだ。これなら、例えばメインPCが破損してそれをsyncしてバックアップ用のPCのHDDのファイルを破壊してしまった場合でも、バックアップ用のPCの復元ポイントを使って元に戻すというような運用が可能になる。


Windows Vista以降でそなわった復元ポイントは非常に便利で、復元ポイントでのフォルダのスナップショットを見ることが出来る。スナップショット自体のpathが与えられている。例えば次のようなpath名になる。


\\localhost\E$\@GMT-2010.07.06-23.24.23


ゆえに、普通にどのソフトからでもそのスナップショット内のファイルにアクセスできるのだ。差分比較ソフトと組み合わせれば、昨日と一昨日のフォルダ内容を比較したりすることも出来る。


あと、フォルダ自体の暗号化には私はBitLockerを用いているが、これはWindows7のUltimateとEnterpriseエディションでしか提供されないので、BitLockerを使えない/使いたくない場合はTrueCryptを使うと良いと思う。


注意点として、Windows Live Sync/Dropboxはログイン時に起動する設定にしておくと、BitLockerのドライブがマウントされていない状態なので、アクセスに失敗する。Windows Live Syncのほうは、そのときに共有してたフォルダが解除されてしまう。再度共有をかけると更新されたファイルがないかをスキャンしだすのだが、私の場合、300GBほど共有していて、そのファイルのスキャンに4時間ぐらいかかるのでその間、他の作業が出来ない。ゆえに、ログイン時に起動させないようにしておかなければならない。


Windows Live Syncで遠隔地のパソコンとsync×復元ポイント×BitLocker = 安心バックアップ環境


以上のようにWindows Live Syncはうまく使えば便利ではあるが、いろいろ機能が不足しているので運用には大変気を使う。復元ポイントと組み合わせるというのが私の考えた技で、読者諸氏も是非活用していただきたい。


※ もっといい方法があればコメント欄で教えてください。