『やねうらお』の名前の由来


ダライアスには苦い思い出しかない』(→ http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20081215 )で「忍者ハヤテ」を執拗に勧めてくれたK君。K君の学校の成績は散々たるものだったので、私は頭のどこかで彼のことを軽蔑していたのだと思う。


それに対して、H君は、学校の成績も良く、なおかつゲーム好き。K君の言うことは素直に聞けないが、H君が言うことには耳を傾ける私だった。


中学2年のときに、このH君と一緒にゲームを作ろうということになって、彼の隠れ家(お父さんが大工らしく、屋根裏を改装したのが彼の部屋だった)でゲーム制作会議を開いた。


まずはサークル名を考えようということで、僕らは(屋根裏にちなんで)「Studio Attic」と命名した。


彼が好きだったゲームは
タイムギャル


彼が購読していた雑誌は
アニメディア
アニメージュ
月刊ニュータイプ


彼が好きだったアニメは
ダーティペア
・マジカルエミ
魔法の妖精ペルシャ
・ストップ!!ひばりくん!
くりぃむレモン


である。


いまにして思えば「どう見てもロリコンの変態のアニオタです、本当にありがとうございました」という感じだ。しかし当時はそういう目ではH君を見ていなかった。それはH君の学校の成績が優秀だということもあった。


K君が勧めてくれた「忍者ハヤテ」は1度もお金を使ってやろうと思ったことはなかったが、H君が勧めてくれた「タイムギャル」には私は湯水のようにお金を使った。もちろん、ノーミスクリアまで出来るようになった。私は操作はすべて覚えており、矢印が画面に出る前に先行入力していたので、それが限界点だと思われた。



ある日、私は得意満々で彼の前でプレイしてみせた。ともかく、彼の驚く顔が見たかった。


しかし私のプレイを見て、彼は感心する様子もなく、続けて彼は自分でもプレイして見せてくれた。


「この原始人を打つとなんでレイカ(ヒロイン)が消えてなくなるか、わかるか?」と私に尋ねた。「ああ、それ意味がわからんかってん」「これはな、レイカの祖先なんや。祖先を殺してしもたから、その瞬間、自分が消えてなくなったんや」と教えてくれた。さすが、成績優秀のH君だと思った。


次に、彼は「このステージはわざとミスするんだよ」と教えてくれた。ミスをするとヒロインの服が破けるステージがあるのだ。「こ、、こいつには勝てない!」と私は思った。



さらに、彼は、隠しフィーチャーを熟知していた。画面上にはレバー操作の指示が出ていても、そこでボタンを押してクリアすることが出来るシーンがあり、そこはボタンを押したほうが点数が高いので全国スコアを狙うならこれをマスターするのは必須だとも教えてくれた。


そして、彼の一番のお気に入りは、このシーンだった。



蜘蛛の糸が絡んで緊縛っぽいのだそうだった。「緊縛」の意味すら知らなかった私は、彼を心酔するのに時間は要しなかった。
そのように、H君に薫陶くんとうを受け、私も変態の道に染まっていくのである。


気がついたときには、私はすっかりおかしくなっており、時を同じくして、H君は高校受験のための勉強をしないといけないからと言って、「サークル活動はもう終わり!」と高らかに宣言し、身勝手にもサークルを解散させてしまった。その後、H君と顔を合わす機会は急速に減る。


かくして、「Studio Attic」は、私一人だけになってしまった。


私の行き場のなくなった魂は、このサークルを自分一人で死ぬまで続けていこうと心に誓った。そうして、私は「やねうらお」になり、いまもたった一人のサークル活動を続けているのである。そしてこのサークルは、死ぬまでずっとひとりぼっちなのだ。