KCE講師、な・ら・な・い・か(8)

幸いにして、本業のほうはある程度儲かっていた。同じ世代のサラリーマンの数倍程度の収入はあったので、別にKCEの講師として儲ける必要はさらさらなかった。ただただ、教育実習で迷惑をかけた先生方と生徒たちになんらかの恩返しが出来れば、と考えていた。


だから、私は超破格の報酬を提案しようと思った。


通勤時間は片道1時間半かかるし、自腹で交通費を出さなきゃいけないし、昼をまたぐと昼の弁当代も必要になるし、予習にかかる時間(だいたい授業時間の倍〜3倍ぐらい)もある。


だから、1回の授業(90分)あたり、4,500円ぐらいを提示すれば、どう考えても間違いなく採用されるのではないか、と思えた。4,500円ならば時給はたかだか3,000円だ。


私が雇う側ならどうだろう?自分自身と同じだけのスキルを持った人間がたった時給3,000円(しかも交通費込み)で自分のために働いてくれるというのだ。私が雇う側の立場なら、それそこ何百人でも雇いたい。(つづく)