大手のゲーム会社なのにゲームバランスが悪いのは何故か


私はiPhone/iPad向けゲームである「源平大戦絵巻」のアップデートで修正された点に関して、「開発時に気づかないのはどうかしている」と書きました。*1


それに対してkanokeさんが、「いやいや大手ゲーム会社ってゲームバランスの調整に時間なんか使わないんですよ」という趣旨の記事を書かれています。



「源平大戦絵巻がアップデートした件」を読んだ上で、リリースされるゲームの出来るまでについて書きなぐる
http://d.hatena.ne.jp/kanoke/20110717#p1



私の会社でも大手の下請け(孫請け含む)は結構やったことがあるのでkanokeさんが書かれているような事情は私にはよくわかります。



そういった事情を承知のうえで、私がここでまず指摘しておきたいのは、iPhone/iPad用のゲームというのは単価自体が安いということです。iPhoneが発売になって間もないころならまだしも、いまは大手のゲームですらゲーム本体は300円ぐらいで、アドオン課金と併せても(1ユーザー当たりの単価が)1,000円にも満たないのが実情です。


アプリ本体は無料で、アドオンで回収というビジネスモデルも少なくはありません。つまり、無料ユーザーも含めて計算するなら1ユーザー当たりの単価は限りなく低く、数百円と言ったところです。


そういう安い単価なのに、コンシューマー機と同じだけの開発費をかけて、それを回収しようという話になれば必然的にユーザー数はコンシューマー機の何倍も存在しなければならないことになります。iPhone/iPad用のゲームは全世界に向けて販売出来るので大手ゲーム会社のゲームならば、その条件をクリアするのは決して難しいことではありません。


しかしユーザー数が何倍も多いということは、それだけ攻略されるのが早いということです。ユーザー数が多いゲームならば、攻略記事を書いてWebに掲載すればたくさんのPV(ページビュー)が稼げます。またプレイヤー人口が多いということは(日本ですと)2chに専用スレが立ち、wikiにゲームのデータがまとめられ、ものすごい勢いで攻略が進みます。そのような攻略が全世界で同時多発的に行われます。PCやコンシューマー向けゲームとはまったく違う攻略速度で、まったく規模の異なるプレイヤー人口で、です。


そしてiPhone/iPad向けゲームはコンシューマー向けゲームと比較するとコンテンツ容量(≒ユーザーがそのゲームをクリアするまでの総プレー時間)が1/3程度しかないのが普通なので攻略し尽くされるまでに要する時間もとても短いです。


今回の「源平大戦絵巻」に関しても、私は発売日にプレーして、発売3日目に攻略記事を掲載しました。*2 その攻略記事はさらっとしたゲームレビューなんてレベルのものではなく、ハイスコアラー(≒世界一位)によるゲームの完全なる駄目出しに近い内容の攻略記事だったわけです。


たぶん私のその攻略記事を見て「面白そうだからやってみよう」と思った人はほとんど居ないでしょう。私としては、「源平大戦絵巻」は面白いゲームだから是非手にとってやってみて欲しいというのが本音なのですが、完全攻略&駄目出しされてしまったゲームをやる気になれないというのもまた人情というものです。



iPhone/iPad用のゲームではこういうことは日常的に起きます。ゲームバランスが悪いこと自体が致命的な販売上の失敗に繋がるのです。そのことを大手ゲーム会社の人たちはそろそろ学んだほうがいいと思うのです。