KCE講師、な・ら・な・い・か(7)

報酬金額をいくらだと提示しようかと考えていた。そもそも、私はなぜ講師になりたいと思ったのだろう?


私は中学・高校の数学の一種教員免状を持っている。これは、大学の授業が退屈すぎて勢い余って取ったのだが、教育実習に行くときに「教育実習という制度は協力校の先生方にも多大な迷惑が掛かるシステムなので、教師になる気のない人は決して来ないでください。あなたは本当に教師になる気はありますか?」と尋ねられた。


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「ある」と答えたけど、そのときには既に企業に内定をもらっていた。教師になる気が無かったわけではなく、いずれは学校で教鞭を執るつもりであった。ちょうど、尊敬する奥村晴彦氏*1が、高校教諭をされていたので、私はその軌跡を緩やかに辿ろうとしていたのかも知れない。


そして、長らく教育関係の仕事に従事できていない自分を、教育実習校の先生方と生徒たちに恥じていた。「あれだけ教育実習で迷惑をかけたのだから、自分は教育システムに関与しないわけにはいけない。人に何かを教えていかねばならないし、自分はそうあるべきだ」と私は考えていた。(つづく)

*1:当時は神奈川県立久里浜高校の教諭で現、三重大学教育学部教授