自分の居場所(2)

大学の先生は、どこか世間とズレているので、この手のアドバイスを求めてもたいていは徒労に終わるだろう。


かと言って、会社勤めが嫌で自分で会社を起こしてしまうような、ある意味、社会不適応者の意見というのは、たとえその人がどれだけ稼いでいようとも歪曲化された意見だと言わざるを得ない。仮にその人が、よっちゃんイカを買いに行ったついでに家を買ってしまうほど、お金を持っていたとしても、そんな人の説く大学かくあるべきという像は眉唾ものだろう。まして、ほりえもんほど稼いでいると、「大学は東大に行き、コネだけ作って1年目にやめて会社を起こせば良い」という話になる。どうも話が極端だ。


やねうらおの場合、ハナクソ大学(仮)に入ったあとも仮面浪人をしつつ東大に行こうと受験勉強をしていたのに、もうそれがいつのまにやらどうでもよくなって、そのあと未練がましくもハナクソ大学(仮)にしがみつき、授業の出席率は5%以下という惨状において教官のお情けだけで卒業させてもらったようなクチだが、仮にあのとき自分が大学を中退し、そのあと経営者としてストレートに成功していたとしたら、「大学なんて行っても仕方ないよ」という口調になっていたというのは想像に難くない。


結局、万人向けの処方箋というのは、はなから存在しない。そんなものを期待するほうが間違っているし、そんなものがあると信じているほうがどうかしている。


しかし、特定の個人に限って、その人が大学に行くべきか行かざるべきかというのは、比較的はっきりとした結論が出せると思う。その人が進みたいと希望する業界での、ある程度の実務経験と経営実態が把握できる役職まで登りつめた経験があればだが。


少なくとも、私は、腕のある志高き技術者は、大学なんか行かずにいますぐにでも独立したほうがいいと考えている。たとえ、その先に待ち受けているのが茨の道だったとしても。