将棋を英語表記するときにblackは何故先手なのか?


コンピュータ将棋スレッド59で次の話題が出てましたのでこれにお答えします。

955 名前:名無し名人[sage] 投稿日:2010/11/28(日) 04:51:16 id:f4bZ0R9X [1/3]
チェスの話題が出たので質問
ウィキ見る限り、チェスのルール上は
 1. whiteが先手
 2. 盤の表記において、blackが上側(white視点が基準)
のように書いてあるのだけども、一方、floodgateにおける表現や
http://www.shogi.net/shogivocab/vocabhtml.html
という用語集だと、
 ・先手=black
になってるけどどっちが正しくてその根拠は?

確かにチェスではblack = 後手 , white = 先手ですが、
将棋の平手ではblack = 先手 , white = 後手 が正しいです。


これは、将棋用語を英語翻訳する人が決めたのだと思います。


何故そのように決めたのかについてですが、そのスレで指摘されているようにオセロや囲碁で黒番が先手というのとはたぶん関係なくて、次のような理由だと思います。


chessは、盤面のa1が左下、h8が右上に来るように盤面を書くのが普通です。将棋だと右上が1一、左下が9九になりますよね。要するに盤面が180度回転してるわけです。


つまり、black/whiteってのは、先手とか後手とかではなく、どちらの陣(盤面の9九側なのか1一側なのか)に属するのかという概念なのです。


例えば、将棋の駒落では下手(したて)側をblack、上手(うわて)側をwhiteと表記することになっています。駒落では上手が先手ですから、この場合、whiteが先手ということになりますが、上の説明を理解していれば、このことは自然の成り行きだとわかりますね。


また、チェスでは古くはプレイヤーがblack/whiteに分かれて対戦して、1局ごとに(将棋の名人戦のように)先後を入れ替える対戦方式がありました。(片方のプレイヤーはずっとblack(h8側)のまま。もう片方のプレイヤーはずっとwhite(a1側)のまま。) このことからも、black/whiteは本来は、先手/後手という概念とは異なることがわかりますね。


しかし、まあ、このような一局ごとに先後を入れ替えると棋譜を書き起こすとwhiteが先手だったり後手だったりして大変わかりにくいので、チェスではwhiteを先手として固定しようよという話になり、現在に至るわけです。