第二次ベビーブーム乙!


私は、まさに第二次ベビーブームの世代だ。


2chでは、よく知識のない者に対して「ゆとり乙!」なんてレスがついているが、第二次ベビーブームの世代は知識はあるかも知れないが常識がない。


何故常識がないかと言うと、小学校では1学級に50人ぐらい居て、先生の教育がまったくと言っていいほど行き届かなかったからである。皆が自由気ままに授業を聞かずに育ったのだ。


授業を聞かないと言っても、同世代の人口は多く、受験戦争なんて言葉が流行ったのもこの時代である。同世代の人口が多いため受験志願者の倍率は非常に高く、ちょうどバブルが弾けたころだったので就職氷河期でもあり、他の世代より過度の勉強を強いられた世代でもある。


だから、授業中は先生の授業は聞かずに、授業とは関係のない受験参考書を堂々と広げてそれに取り組んできたわけだ。私も高校1年の物理の時間に「大学への数学」をやっていたら、先生に没収されたので逆切れした経験がある。その後、物理の先生から担任に連絡が行ったものの、「ああ、またか」と言う感じで全くお咎めなしであった。


いわゆる「ゆとり教育」は失敗だと言われているが、このように学級人数が多いので自動的にゆとり教育化され、それと同時に、就職氷河期と受験戦争の重圧により皆が自分なりの方法で勉強に取り組んだ。この自然発生的なゆとり教育は、ある意味成功したと思う。


このような重圧により、皆が自分なりの勉強法を模索していた。私は私立の進学校に居たが、誰もが、授業を聞くより進研ゼミやらチャート式の受験参考書のほうがわかりやすいことを知っていた。同じ時間だけ勉強するならば、先生の話を聞くよりは、参考書を読み、問題集に取り組むほうが効率が良いことを知っていた。いまで言うところの「効率厨」だったわけだ。


私の通っていた高校では定期的に開催される実力テストの結果が廊下の壁に貼り付けられていた。私は数学と英語で何度か学年トップの成績だったが、それぞれの科目のトップ5ぐらいはたいてい顔見知りで、彼らもまたいつも授業は全く聞かず、数学の時間に英語の参考書を勉強しているような奴らだった。


授業を真面目に聞いた奴らが等しく落ちこぼれ、真面目に聞かない奴らだけが上位に位置することが出来たのだ。こういう光景を生徒の誰もが目の当たりにしていた。学校の授業が、そしてその時の教育制度そのものが虚飾に満ちた欺瞞の産物であることを皆が理解するのにそれほど時間は要しなかった。誰もが教育制度がおかしいことを肌で感じていたし、それでいてこの制度は自分たちを捕まえて放さない足枷としてそこに歴然として存在していたのだ。


このような状況が、人の話は聞かない、自分勝手で強烈な個性とアクの強さを持ち合わせた人格を大量に輩出(排出?)した。圧倒的人数が洪水のように押し寄せるなかで没個性化することに反発し、鮮烈なまでの自己顕示欲を育んだのがこの世代なのである。


このような理由で、たぶん他の世代よりはずいぶんと頭はいいのである。たぶん、私もあと4年早くか遅く生まれていれば志願者倍率がここまで高くはなく、東大に余裕で進学出来ていただろう。(なんてことが1日数千PVもある自分のブログで臆面もなく真顔で言えるのは私が第二次ベビーブームの世代だからだろう。)


まだこれだけ言っても他の世代の人には実感を伴って理解されないかも知れない。もう少しわかりやすい例で言うとほりえもんも1972年生まれだし、ほりえもんの盟友と言われたサイバーエージェント社長の藤田晋さんも1973年生まれであり、この世代なのだ。*1


あなたの学校の級友の全員が堀江貴文であり藤田晋だとしたらどうだろう?
そしてその中で自分が輝き続けなければ彼らのなかで自分が埋もれてしまうとしたらどうだろう?


まあ、この第二次ベビーブームはそんな状況だったので、同時にドロップアウト組をも大量に産み出した。私が中学生のときはバブル絶頂期だったので、就職すればいいかと思っていた奴らが大量に居たが、高校に入るころにはバブルが弾けていた。行き場もなくさまよい、その大多数は世間で言うところのいわゆる負け組になった。


第三次ベビーブームが来ないのは、第二次ベビーブームの世代はこのような理由により勝ち組と負け組とに比較的はっきりと明暗が分かれるためである。負け組は経済的な理由などによりなかなか結婚できず、子供を作らないので結果的に第三次ベビーブームは来なかったのである。


話を少し戻そう。「ゆとり乙」だけではなく、私に言わせれば、「第二次ベビーブーム乙!」も、もっと流行って然るべきである。2chで「なんだ、こいつは!とんでもない常識知らずだな!」と思ったら是非「第二次ベビーブーム乙!」と書いて欲しい。


企業に対する強烈なクレーマーやモンスターペアレントが多いのもたぶんこの世代である。この世代は、たいてい「一粒でお腹いっぱい」なので、私は最近、同世代と会うことに恐怖をも感じる。私からすれば「ゆとり世代」なんて可愛いものだ。これだけ言っても読者には1%も伝わっていないとは思うが、ともかく第二次ベビーブームの世代は、本当に怖いんだ。何かあればすぐに訴訟だの裁判だの言ってくる。道ばたの石で躓いて足を骨折したら、その近くの家の人を相手取って訴える。それも冗談ではなく本気だし、それで本当に裁判で勝てると思っている。それくらいおかしな人間大集合なのである。


このような状況は同世代の一人として情けないばかりではあるが、自戒の意味を含めてここの書き残しておく。何か私が間違ったことを書いていたらコメント欄で教えて欲しいが、たぶん訂正もお詫びもしない。何せ、私は第二次ベビーブームの世代なもので…。

*1:藤田さんがどんな人物か知らない人は、渋谷ではたらく社長の告白Amazonマーケットプレイスで1円+送料で買えるので読むといいと思う。無一文の状態から何をしていいかもわからないまま起業して、大企業に成長するまでが書かれている。起業する人の参考にはならない/するべきではないと思うが、読み物としては十分楽しめる。