コンピュータは人間を追い越すのか?(2)

5二馬、同金、6二と までの挟撃必死



詰め将棋を解くスピードに関しては、いまやコンピュータは人間のトッププロをも凌駕しているが、果たして時間が長くなるとコンピュータと人間とではどちらが有利なのだろうか?


これは将棋指しの間でもしばしば議論にのぼるのだが、私から見て、なんかどれもこれも見当はずれな意見が多い。順番に整理して考えて行こう。


まず、プロ棋士にとって都合のいい持ち時間とはどれくらいだろうか?NHKのテレビ将棋だと15分の持ち時間でそれが切れると秒読み30秒である。(ただし1分単位で合計10回の考慮時間がある) この持ち時間ではろくに読めないことはNHKの解説者の話を聞いていても明らかである。「時間があるならアマチュアの有段者でさえ犯さない」というようなポカを、プロが多発する。そういう意味では1手1秒切れ負けというような将棋だと、プロですらいまのコンピュータに勝つことは難しいんじゃないか、というのは当然ある。


人間の場合、1手1秒と1手30秒とではえらい違いだが、コンピュータの場合それは単なる30倍の差でしかない。よって、「短い持ち時間の将棋はコンピュータが有利」という意見。これは一理あると思う、というか間違いなくそうだ。ここで言う短い持ち時間というのは、1手1秒とか0.5秒とか0.1秒とか、そういうレベルの話だが。(この部分、詳しいことは今日のコメントのほうで書いたので、意味がよくわからないという人はそちらも見られたし。)


では、この結論の逆で「長い持ち時間の将棋は、人間有利」かというと、そう単純な話でもないのだ。(つづく)