enchant.js ――― パソコン少年の見た夢

景気には波があると言われている。約10年周期のジュグラーの波、約20年周期のクズネッツの波、約50年周期のコンドラチェフの波。


パソコンの言語ブームには25年周期というのがあるのではないかと私は思う。パソコン少年も25年ぐらい経つと会社経営者になってたりして、自分が子供のころに体験した体験を若い世代に追体験させようとする。


例えば、enchant.jsというムーブメント。私自身はenchant.js自体には何の魅力も感じないけど(この程度のものは私は自分で実装できる)、しかし、目指そうとしているものはなんとなくわかる。


たぶん清水さん(shi3z)が、子供のころにされていたBASICがその根底にあるのではないかと思う。
特に前田ブロックはファミコンファミリーベーシックを強く想起させる。


私はファミリーベーシックは友達の家で一度触ったっきりだが、1行、2行書くだけでマリオが表示されたのには当時、深い感動を覚えた。ファミリーベーシックではスプライト(キャラクター)も最初から定義済みで、ぴゅう太(トミー工業。現タカラトミー)やMAX MACHINE(コモドール社)、M5(ソード社)のように自分でキャラクターを作る必要すらない。


実を言えば私もいまだに当時のBASICが忘れられず、当時のBAISCのように粒度の大きな命令を持った、特定用途に特化したスクリプト言語をいままでに幾度となく実装してきている。(つい最近もC#でまた実装してしまった) それは私が子供のころに考えた「ぼくのかんがえたさいきょうのスクリプトげんご」そのものだ。私は30年以上の時を経て、実装のために必要な環境と実行環境が整い、自分が昔に思い描いたコンセプトの正当性が示せたというわけだ。


たぶんenchant.jsに魅せられた少年少女たちは20数年後、自分の経営する会社でまた同じコンセプトの開発環境をそのときの最先端の技術を用いて作るだろう。そうして歴史は繰り返すのである。