双方連続王手の千日手は成立しない part3

昨日の続きで、追加で証明の終わった定理を書いておきます。これでずいぶん核心まで到達したのではないかと思うので、詰将棋作家の人たち、グラフ理論を研究してる人たち、最後の一歩をお願いします(´ω`)人


■ 新たに発見した定理


[定理12]
定理名 : 小駒を敵玉のライン上(縦・横・斜め)の外から敵玉のライン上に移動させることは出来ない
定理内容 : 同上


[証明] 小駒を移動させる場合、直接王手になってはいけない[定理10]ので、影になっていた大駒で王手しなければならないが、そのためには、この移動させる小駒と影になっている大駒と敵玉とが同じライン上(縦・横・斜め)になければならない。(証明終わり)



[定理13]
定理名 : 小駒の移動の禁止
定理内容 : 同上


※ 定理12は小駒の敵玉のライン上からライン外への移動が不可逆な変化であることを表しているように見え、そこからただちに定理13が導けるかのように思えるが、移動させたあと、敵の駒にとられて、そのあと盤上にその小駒を打つというようにして元の局面に戻れる可能性がある。つまり「元の局面に戻ってこれるか」という視点で見たとき、不可逆な変化だとは言い切れない。そこで定理13の証明にはもう少し踏み込みが必要になる。


[証明] 小駒が移動できるのは[定理12]に出てくる条件(「小駒を敵玉のライン上(縦・横・斜め)の外から敵玉のライン上に移動」が不可=「敵玉のライン上から敵玉のライン上の外への移動」のみ可)に限るが、移動させてしまった場合、このあと、元あった位置に小駒を復元し、再度同じ移動を実現させるためには
a) 小駒を打つ
b) 盤上の小駒をここに移動させる
かのいずれかがまず必要になる。


a)の場合、次の手で必ず取り替えされてしまい、この駒を移動させる前に盤上から消えてしまう。また、b)の場合、[定理10]により、このとき、影になっていた大駒によって間接王手にならなければならないが、「元あった位置」は、[定理12]の条件を満たすので敵玉のライン上(縦・横・斜め)であり、b)で移動するべき盤上の小駒はこのライン上にはないので、この移動は間接王手にならない。(敵玉は移動しない[定理1]ので、敵玉のライン(縦・横・斜め)はいつまでも変わらず、敵玉のライン上の外にある駒を移動させてもそれが空き王手になることはない。)


つまり、ひとたび小駒を移動させてしまうと元の局面に戻ってくることは出来ない。よって小駒は移動できない。(証明終わり)


(2008/6/7 追記) コメントで指摘をもらったが、小駒を敵玉のライン上から敵玉のライン上へ王手せずに移動させることが出来るパターンが一つだけある。


これが不可能なことは別途証明が必要。


■ 現在の状況


将棋において王手をするための手段は、
I) 駒を打っての王手
II) 駒を移動させての王手
に分類される。


「将棋」は、駒を打つか駒を移動させるかしか出来ないゲームなのでこれは当然である。I),II)をもう少し細分化することも出来る。


Ia) 小駒を打っての王手
Ib) 大駒を打っての王手
IIa) 小駒を移動させての直接的な王手
IIb) 小駒を移動させての(影になっていた大駒による)間接的な王手
IIc) 大駒を移動させての直接的な王手
IId) 大駒を移動させての(影になっていた別の大駒による)間接的な王手
IIe) 王を移動させての(影になっていた大駒による)間接的な王手


現在わかっているのは、「IIaとIIb」,「IIcとIId」は両王手の禁止[定理8]により、同時に起こらない。また、IIa,IIbとIIeは禁止。[定理10][定理13][定理1]


よって、現在のところあり得る操作は、Ia,Ib,IIc,IIdのみ。