双方連続王手の千日手は成立しない part2


「双方連続王手の千日手は成立しない」(http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20080604)を書いたあと、いくつかの強力な(?)定理を発見したので証明に取り組んでいる人の一助になればと思い、どれが役に立つかは知らないが、メモがてら証明の済んでいるものだけ書いておく。


外部から参照してもらう時のために定理番号は、前回の続きにしておく。


■ 前回までのあらすじ。


[定理2]→証明に不備あり。これは、定理自体を棄却。代わりに以下の[定理10]などを使う。
[定理4]→証明に不備あり。これは修正が必要。いったんこの定理は棄却。
[定理6]→証明に不備あり。これは修正が必要。いったんこの定理は棄却。
[定理7]→もっと厳密な証明が必要だが、その証明は結構大変。もう少し段階的にアプローチをしたほうがよさげ。いったんこの定理も棄却。


■ 新しく発見した定理


・両王手に関する制約


[定理8]
定理名: 両王手の禁止
定理内容 : 両王手があると双方連続王手の千日手が成立しない。


[証明] 両王手された場合、これに対する応手としては玉が逃げるしかない。王手している駒が2駒あるので、それらを一度に取り去ることは出来ないし、合い駒しようにも2駒の焦点は王であって、その利きを合い駒によって遮断することは出来ない。しかし[定理1]により王は移動出来ないことになっている。よって、両王手は出来ない。(証明終わり)


・直接王手に関して


[定理9]
定理名 : 近距離王手の応手
定理内容 : 小駒による直接王手および大駒による近距離(1マス以上空けない)王手に対しては次の一手で必ず取り返さなくてはならない


[証明] 小駒による直接王手や大駒による近距離王手(玉の8近傍からの王手)は合い駒が利かない。
[定理1]により王は逃げられないので次の応手で必ずこの駒を取るしかない。(証明終わり)


[定理10]
定理名 : 小駒の直接王手になる移動の禁止
定理内容 : 同上


[証明] 小駒を打って王手する場合を考えてみよう。次の応手で取り返さなければならない。[定理9] つまり、このとき(2手まとめて考えると)盤上の駒は増減していない。小駒を移動させて直接王手する場合は、次の応手で取り返されるので盤上の小駒が一つ減る。
小駒は打つか移動させるしか出来ないが、そのどちらの操作に関しても盤上の小駒が増えることは決してない。よって、盤上の小駒が減るような操作は不可逆な操作であり、(それを無限に繰り返すことは出来ないので)このような操作を含むと千日手にはならない。

よって、小駒を移動させて直接王手する手があると双方連続王手の千日手が成立しない。(証明終わり)


[定理11]
定理名 : 小駒による王手(王手になっている駒が小駒)は必ず大駒で取り返さなくてはならない。
定理内容 : ここで言う「小駒の王手」とは、王手している駒が小駒という意味である。小駒の移動による(大駒の)間接王手は、これに含まない。「小駒の王手」は、小駒の移動による小駒の直接王手(近距離王手。桂の直接王手もここに含まれる)と、小駒を打っての直接王手である。


[証明] : 小駒による王手をされた場合、これを盤上の小駒を移動させて取り返すことは出来ない。[定理10]
王は移動出来ない[定理1]ので、結局、大駒で取り返すしかない。(証明終わり)


コメント欄で指摘をもらったが、小駒を移動させての間接王手があって、この証明は、その可能性を忘れている。
明日書いている[定理13]の「小駒の移動の禁止」があり、そこから直接、定理11が導けるので、定理11は間違いではない。


(明日の日記に続く)