救急車の乗り方 for ビギナーズ(3)


■ 受け入れ先の病院探し


救急車は受け入れ先の病院が見つかるまで決して動き出すことはない。その間、患者と付添い人は救急車のなかでずっと待ちぼうけである。


希望する病院があるならその病院に電話して受け入れてもらえるか尋ねるように言わなければならない。


また、あまりに遠くの病院を言うと救急隊員に露骨に嫌な顔をされるかも知れない。彼らとしても早く帰って休みたいなるべく多くの命を救うという重大な使命を背負っているので一人の患者にそれほど時間を割くわけにはいかないのである。


実は、この受け入れ先の病院探しというのが最大の山場なのだ。救急車がせっかく10分以内に到着しても、その後、受け入れ先の病院が見つからずに1時間ぐらい救急車のなかで待機ということは何も珍しくはない。


■ ベストな時間帯

兵庫県姫路市の男性(66)が6日未明、吐血するなどして救急搬送された際、
近隣の18病院が医師の不在などを理由に受け入れを拒んでいたことが分かった。
男性は最終的に約30キロ離れた市外の病院に2時間近くかけて搬送されたが、
途中で病状が悪化。搬送先の病院で死亡が確認された。

市消防局は「最善を尽くしたが、いろいろな条件が重なり受け入れ先を
見つけるのに時間がかかってしまった」としている。


(2007年12月6日 産経新聞)

病院の営業時間外だと専門の先生が居ないことは珍しくない。そういう状態では患者の受け入れが出来なくてある意味当然なのである。「未明」という時間帯が悪かったように思う。こういう時間帯であっても緊急医療が正常に機能する社会になってもらいたいと切に願うが、営業時間外に救急車を呼ぶ事態になった場合、こういうケースもありうる(それもかなり高い頻度で)と覚悟しておかなければならないのが実状なのである。


緊急を要しない場合で、かつ救急車を呼ばないと患者を病院に運べないような場合は、朝の9時か10時になるのを待ってから救急車を呼ぶというのがベストソリューションである。


救急車を呼び慣れているおじいちゃんおばあちゃんらは、泊まり込みのための着替えや歯ブラシなどまでしっかり用意してから病院が開く時間を見計らって救急車を呼ぶことも珍しくはない。


ただし、タクシー代が惜しいがために救急車を呼ぶようなことはあってはならない。他の助かるはずの命が助からなくなってしまう。そういうことは絶対にしないように。


(明日のエントリに続く)