救急車の乗り方 for ビギナーズ(2)


■ 救急車が来る。次にするべきことは?


救急車が家の近くまで来たら家の前に出て救急車を誘導しよう。
救急隊長が救急車から出てきて、「どうされたのですか?」と聞かれる。


しかしこのとき、家の前で話すとご近所の人に聞かれてまずいと思う場合は、すかさず救急隊長を家の中に招き入れよう。初めての場合、なかなかこのことまで気が回らないが、あとあとご近所のおばちゃんの井戸端会議のネタにされたくないなら、必ず家のなかで話そう。*1


そのあとさきほど119に電話したときに伝えた内容を再度復唱しなければならない。電話受付の人と隊長との連絡はそれほど密ではないと考えたほうが良い。本当は、電話の内容をvoice recorderで録音して、現地に駆け付けるまでにその内容を隊員全員が救急車のなかで聞いたほうが良いと思うのだが、そうはなっていないようだ。


ここでも説明に失敗すると「そんなことで救急車を呼ばないでください」となってしまう。あなたは、何故、救急車でなければならなかったのかを簡潔かつ論理的に話した上で、患者の様態について適切かつ簡単に述べる必要がある。


救急隊長は救急資格者ではあるが、医師ではないのでよほどベテランの救急隊長でなければ専門的な判断は出来ないと思ったほうが良い。あなたは、なんとか救急隊長を説得して、すみやかに患者を病院に運んでもらわなければならない。


このとき患者本人に救急隊員が「どうされたんですかー?」などと尋ねることがある。あなたにしてみれば、患者が重体の場合、さきほどあれほど説明したのに、何故話すのもつらい患者本人にそんなことを聞くのかと憤慨するかも知れない。


このとき隊員は患者に意識があるかないかを確認している。またそれと同時にあなたが嘘を言っていないか疑っている。「本当は救急車を呼ばなくても済む程度の怪我なんじゃないの?」だとか、「本当は階段で転んだんじゃなくてあなたが突き飛ばしたんじゃないの?」だとか。そう言った疑念を晴らすためにも患者本人の口から語らせることはとても重要なのだ。だから、あなたはここではじっと我慢しよう。


救急車のなかに患者を運んだあとは「受け入れ先の病院が見つかるまでにまだ時間がかかるので保険証を用意してください」と言われる。あなたは、保険証はすでに用意してあるはずだ。


万が一、保険証が用意できていない場合は、「保険証は金庫の中にあるため、父しか出せません。私は現金を持ってます。現金でお支払いして、後日保険証を持参します」などと言わなければならない。そうしないと病院に受け入れてもらえない可能性が高くなる。


(明日のエントリに続く)

*1:119に電話したときにご近所で目立ちたくないなら、「近くに来たらサイレンを消してください」というと消してくれるらしい。ただし、道に迷っている救急車を目的地まで誘導するための時間が余計にかかるかも知れない。緊急を要さない時のみにしたほうが良いだろう。