大人のためのピアノ入門(5)


昨日の続き。


■ 曲のアレンジ


曲を聞いてすぐにアレンジして演奏するためには耳コピの能力や作曲の知識が必要だが、それはそれで説明するだけでも長文になるので今回の連載では割愛する。


■ 先読みする技術


いま演奏しているパートより少し先を読まなければならない。これは初見弾きに必要不可欠な能力である。通常、先読みしている量が最初は2,3小節あるのだが、複雑なパッセージがあるとそこで先読みしている部分が1小節になり、0小節になり、ついには追いつかれてしまう。この現象は、音ゲーに似ている。


「先読みする」というといかにも特殊な能力のように思われるかも知れないが、我々は本を朗読するときに声を出している箇所よりは何文字も先を読んで行っているだろう。パソコンでキータイプするときも、現在タイプしている文字よりは少し先の文章を頭に思い浮かべているだろう。要するにそれだけのことであって、程度の差こそあれ誰でも出来ることなのである。


先読みをする訓練は、自分が初見弾きできるぐらいの簡単な楽譜を持ってきて、意識的にいま演奏している箇所より1小節先を読みながら演奏すると良いと思う。慣れてくるに従って、この1小節というのを2,3,4小節と増やしていく。


普通のピアノレッスンでは、課題曲が弾けることに重点を置いて、こういう能力を伸ばすことを怠るので、なかなか初見弾きができるようにならない。


■ 正確なテンポで演奏する


CJ119 リズムに強くなるための全ノウハウ(増補改訂版)

最初は正確なテンポで演奏するのはとても難しい。一昔前ならメトロノームを使うところだが、いまならメトロノームのソフト「アウフタクト2」を用いると良いだろう。


このソフトを用いてビートを3分割したときとか4分割したときの長さを体で覚えてしまうのが良いと思う。ハノンの変奏のときにも最初はこういうソフトを使って正確なテンポをキープする訓練をしたほうが良い。


音ゲーに慣れている人なら、このメトロノームのソフトを使えばかなり正確なタイミングで(人によっては1/60秒以内のズレで)打鍵することが出来るだろう。ただし、本番ではこのソフトは使えない。自分のリズム感を養っておく必要がある。

(つづく)