みっつ目は自分は呪われたプログラマであるということ(21)

H君 「あっ。おまえ学校やすんでなにしてんねん」
おれ 「そんなん関係ナイ!もう、おまえら、こっぱみじんこジャ!」
H君 「あっ。なんや、その右手に持ってる金!うわ!なにこれ!すごいで!すごい!なにこの金?!ぬすんだん?」
おれ 「これは、おまえらこっぱみじんこにするために稼いできたんジャ!」
H君 「えっ?!マイコンで稼いだん?」
おれ 「そうジャ!!マイコンでおまえらこっぱみじんこジャ!!」
H君 「マイコンて..そうなんや..」


H君は何かに憑依されたかのようにして、うわごとを言いながら立ち去って行った。それを心配そうに追いかけるH君のとりまき3人。そして、「じゅうまんえん」を右手に握り締めて、状況を把握しかね呆然としている私。


いまにして思えば、H君はこの時点で「マイコン」=「キチガイの趣味」という認識を改め、未知の可能性を持ったデバイスとしてその存在価値に気づいていたのかも知れない。


一方、私のほうはと言えば、渦中に居たためか、そういう認識が立ち遅れ、その後、大学を出て製図設計の技師として就職するに至るまで、「マイコン」=「キチガイの趣味」=「社会不適応者の惨めな玩具」という図式を払拭することが出来なかった。しかも、そのような呪縛から真に逃れられたのは、それよりずっとあとになってからである。(つづく)