みっつ目は自分は呪われたプログラマであるということ(4)

そして、当時の同じクラスだったやつらは、雪の日は、雪を丸めて固めて少し体温で溶かしてから石のように硬くなったのを私めがけて投げつけてきやがる始末だ。


マイコン」が“出来る”ということに本格的に後ろめたさを感じるようになったのはそのころからだった。「マイコン」に触れてしまった自分は、もう一生、まともな暮らしは出来ないだろうし、真人間に戻ることもないのだ、と感じた。自分が 8080 になった夢を見たあとは、これは自分が真人間でないことの何よりの証明だと理解した。ちょうど当時放映されていた「妖怪人間ベム」というアニメには「早く人間になりたいよ〜!」とかいう名台詞があるのだが、もう自分も真人間になることは生涯ありえないのだろう、と思うようになった。


私が小学3年生のときに学校での私へのいじめは本格化した。いまから思えば、学級には村社会のような社会構造があって、傑出したものや異端なものを正常化してコミュニティに受け入れようとする自浄作用のようなものだったのかも知れない。ありていに言えば「出る杭は打たれる」のである。まして、「マイコン」のようなキチガイ御用達デバイスに触れてるともなれば、危険人物扱いもされるわけである。


私は、もう学校へ行きたくないと学校をずる休みするようになり(当時は「不登校」という言葉はなかった。学校を休めばいかなる理由であれ、それは「ずる休み」であった)ある日、おばあちゃんは、そんな私を哀れに思ったのか、パソコンを買ってくれることになった。(つづく)