やねうら王2014の開発コンセプト


今一度、今年のやねうら王2014の開発コンセプトを書いておきます。(現バージョンのことではなく、今年はこういうことをしたいという話です)


・局後学習により、定跡を自らの手で切り拓く


これは、すでにやっています。9手目ぐらいまでは3200M(32億)局面を調べて、その局面のよさげな手を上位3手、DBに記録しています。後手の6二銀などかまいたち戦法で有名なアマ強豪である鈴木英春さんを彷彿とさせる立ち上がりです。


・人間の棋譜からの学習をやめる


コンピューターオセロのようにすでに人間の棋譜が参考にならないというところまでは、コンピューター将棋はまだ来ていませんが、しかし人間の(プロの)棋譜を大量に(100万局単位で)集めるのは不可能なので、どこかで人間の棋譜と決別しないといけない時代は確実にきます。そこで実験的に人間の棋譜を使うのはやめることにします。


・過去のコンピューター将棋関連の技術は一切使わない


日本のコンピューター将棋開発は開発者間での情報共有があまりなされているとは言いがたい状況です。例えば、不特定多数でオープンソースで開発されているようなコンピューター将棋は存在せず、このへんコンピューターチェスの世界からずいぶん遅れをとっています。そういうコミュニティの在り方が日本の風土に合わないのか、あるいは、コンピューター将棋が辛うじて商用ソフトとして販売できてしまうという現実が、そういうコミュニティの発達を阻害してきたのかはわかりません。そのようなコミュニティを形成し、共同で技術を育てていけていないことは、ある意味では開発者たちの怠惰の結果と言えるでしょう。


ともかく、日本で開発されたようなコンピューター将棋の技術は一切使わないという縛りを入れたところで、さほど開発上問題になるわけでもありません。こうすることで「いままで日本で研究されてきたコンピューター将棋の技術は(現代のコンピューター将棋ソフト開発上において)全く何の意味もなかった」という烙印を押すことが出来ます。


具体的には
・ボナンザメソッドを使わない
Bonanzaの3駒関係を使わない
Bonanza型の1手詰めルーチンを使わない
Bonanzaの優等/劣等局面の判定を使わない
・df-pn(詰将棋探索)を使わない
・Puella αのクラスター化技術を使わない
などが挙げられます。


私は、「保木さん(ボナンザ)がいなければやねうら王もなかった」だとか「プロ棋士がいなければ(プロの棋譜がなければ)やねうら王もなかった」だとか、一切言われたくないので、茨の道であったとしてもあえて独自路線で行きたいと思っています。