第二回 電王戦 第三局の妙手について


後手ツツカナの5五香も羽生マジックぐらいの驚きでしたが、以下図で後手6六銀が印象に残りました。
これには放送時は解説の鈴木大介八段も「ハッとする手ですが…」と意味不明の模様でしたが、これにはきちんとした意味があったようです。



1. △5八金▲同玉△3八角成からの挟撃形によるラッシュを仕掛けても、この瞬間が王手ではないので逆に▲2五龍!△同玉▲2六香からの7手詰み
2. それを避けるために、△6六銀で▲2五龍を消す筋を含めるのが必須
3. △6六銀▲同龍を入れた事で、△5八金▲同玉△3八角成の瞬間が△4九角からの19手詰みを見た詰めろ
4. しかし、△6六銀▲同龍を入れても同じく△3八角成の瞬間に、▲1五銀!△同玉の変化で計21手で頓死
5. ツツカナは4の変化に△6六銀▲同龍の後に気付いたため、仕方なく△4二歩
という流れらしいです。


将棋電王戦 第3局でツツカナの指した△6六銀について
http://www.hageatama.org/wp/1851

コンピューターのほうは詰みが絡む部分は正確に読んでいますね。詰む/詰まないはコンピューターには特に読みやすいですからね。


ただ、1手数分しか割り当てられない状況では(詰将棋専用ルーチンを用意していないタイプのコンピューター将棋ソフトが通常探索のなかで詰みを読むのは)20手先までぐらいが限度なので、上図の局面では6六銀、同龍のあとの上記引用4.の変化までは読めてなかったということなのでしょう。


結果として、この6六銀に対して同龍と取り返されたあとにツツカナは改心したということのようですが、それにしても短時間のわりにハイレベルな読みで、6六銀を水平線効果だとか、ポカだとかそういう言葉では片付けられないような、もっと恐ろしいものの片鱗を見たような思いがしました。