ゲーム性が皆無なソーシャルゲームなんか存在しません!


「ゲーム性が皆無なソーシャルゲームなんか存在しません!」



すみません、出オチでした。



このブログにアップするために「ソーシャルゲームは情弱を騙して稼ぐアコギな商売だ」という前提ありきでかなりの長文記事を書いてみたのだが、読み返してみると面白くもおかしくもならなかった。ただのゲームのシステムの詳説というか…ただのガーディアンクルス(スクエニソーシャルゲーム)の攻略記事になってしまっていた。


ここに至り、どうも前提自体が間違っていることを認めざるを得ない。


まず私は大前提として「ソーシャルゲームはゲーム性など皆無のゲームである」と思っていた。ゲーム性が皆無のゲームで情弱を騙して稼いでいるのだと思っていた。ガーディアンクルスもシステムを理解した段階では「ああ、天下のスクエニもこんなゲーム性皆無のゲームを作って情弱を騙してやがるんだな」と思った。しかしその認識は間違いだとやがて気づいた。


ガーディアンクルスについて詳しいことは機を改めて書くとして、まず今回は「ゲームを攻略する」ということについて従来型ゲームとソーシャルゲームとを比較して考えてみたい。


普通、ゲームではある程度の情報はプレイヤーに開示されている。例えばオセロや将棋のようなゲームはゲーム理論では「二人零和有限確定完全情報ゲーム」と呼ぶ。相手のプレイヤーが何を考えているか(相手のプレイヤーの読み筋)はわからないが、盤面を見れば現在の戦局がどういう状態なのかは誰の目にも明らかである。(どちらが優勢なのかはある程度の棋力がないと判断できないが)


格闘ゲームにしても相手が何を考えているかはわからないが、技の発動モーションはあるし、自分と相手の残りのスタミナはわかるし、現在のプレイヤーとの位置関係もわかる。敵がコンピューター(AI)の場合、こちらの特定の動きに対して直接的に反応しているだけの場合もある。(例 : こちらがしゃがみ小パンチを連打していると敵は一定間合いからプレイヤーめがけて飛び込んでくる)


このようなゲームを攻略する場合は「こちらの動きに対して敵AIはこういう動きをしてくる」と敵AIがどう作られているかをプレイヤーが試しながら突き止めていく作業になる。ゲームではプログラムのソースコードは開示されていないのが普通だからこれはいわゆるブラックボックステストに属する。うまくテストしていけば効率的に敵AIの挙動がわかってくる。


この手のゲームで上達の早いプレイヤーを客観的に観察してみると効率的なテストを考えるのに長けていて効率的なテストを試行していることがわかる。また前作の続編ものであれば、前作でのゲーム内でのルールはそのまま通用すると仮定することによってさらにテストの効率を高めることが出来る。要するに前作をやっていると上達が早い。当然のことではあるが。


このようにブラックボックステストによってゲーム内のルールを解き明かしていくことで攻略の大きな手がかりにするのが従来型ゲームの基本だった。


では、ソーシャルゲーム、例えばガーディアンクルスのようなカードバトル型のゲームにおいてはどうだろう?


まず戦闘のルール(ダメージの計算式、スキルの効果etc…)を把握するためにブラックボックステストを行ないたい。


しかし、プレイヤーはそのカードを持っていないとそのテストすらできない。どんなステータスのカードがどれくらいの比率で存在しているのかもわからない。そして(運営の気分次第で)どんなカードがいつ追加されるかもわからない。


つまり普通のブラックボックステストすら満足にさせてもらえない。テストするためにカードをまず入手しないと始まらない。つまりカードを入手すること自体が攻略なのであって、ブラックボックステストによってゲーム内の仕組み(ダメージ計算式、スキルの効果etc…)を解き明かすことが攻略ではないのである。


例えばガーディアンクルスの場合、最初から次式のダメージ計算式は公開されている。


ダメージ = 攻撃力 × ( 1 + アビリティ ± バフ・デバフ ) × 相性(±15%) - 防御力 / 2
(アビリティ = +1:0.065 +2:0.12 +3:0.25 +4:0.5)


ブラックボックステスト自体は“攻略”ではなく希少なカードを入手することが“攻略”なので、ゆえにゲーム性が皆無だと思う人は少なくない。私も最初そう思った。


しかし、希少なカードを入手すること自体を“攻略”と呼ぶのだとしたら、カードハントのためのチケットがもらえるようにバトルポイント(スタミナ)が完全回復する150分ごとにアプリを起動して戦闘するのも“攻略”だし、寝るときも目覚ましを150分ごとにセットして起きてでもアプリを起動するのも“攻略”だ。


もちろんカードをトレードするのも“攻略”だし、トレードするために自分を信用してもらえるように掲示板(公式コミュニティは存在しないので2chのトレードスレになるのだが…)で礼儀正しく振る舞うのも“攻略”だろうし、トレードが成立しやすいようにトレードのために掲示板に四六時中書き込むのも“攻略”なのだろう。


それから、リアルマネーを注ぎこんでレアハントが出来るチケットをゲーム内で購入するのも“攻略”だし、友達を何人も誘って希少なカードをゲットするのも“攻略”だ。そのために普段からゲーム友達を作っておくのも“攻略”だし、もちろん、自分のブログで招待乞食をするのも“攻略”である。


そう考えてみると、従来型ゲームと攻略の範疇はずいぶん違うが、これを「ゲーム性皆無」と言ってしまうのには少々無理がある。ゲーム性というのが何かという問題はあるにせよ、やはりそういうのをすべて含めてのソーシャルゲームなんじゃないかと私は思う。


結論として、ソーシャルゲーム、具体的にはアイテムなどのトレードの仕組みがあり、多人数で同じゲーム内のワールドでプレイできる場合、ゲーム性を皆無にするほうが難しいんじゃないかと思った。そのための前提として、トレードしたいようなアイテムがゲーム内にたくさん存在しなければならないし、トレードしたいというプレイヤーの欲求を強く喚起しなければならないが…、その話は次回に詳しく書く。