ヤマハがベーゼンドルファー買収

世界の三大ピアノと言えば、スタインウェイベーゼンドルファー、ベヒシュタインだと思うが、ベーゼンドルファーは今年ヤマハに買収されてしまった。私も、いずれはベーゼンドルファーが欲しいなぁと思っていた一人なのでショックを隠せない。

ベーゼンドルファー社は1828年創業。米スタインウェイ、独ベヒシュタインとともに世界3大ピアノメーカーに数えられ、作曲家リストらに愛された。製造台数は年300台余。平均価格は1台6万ユーロ(約1000万円)だが、日本でも根強い人気がある。


ヤマハ、世界的ピアノ会社買収 ベーゼンドルファー
http://www.asahi.com/business/update/1220/TKY200712200373.html

リストはベーゼンも持ってはいたが、リストと言えば(「ピアノ音楽はベヒシュタインのためだけに書かれるべきだ」と言ったぐらい)ベヒシュタインである。ベーゼンの説明にリストの名前を真っ先に挙げるのはどうかと思う。TBSニュースのほうはもっとひどい。

オーストリアの世界的なピアノメーカーをヤマハが買収することを発表
しました。ウィーンの誇りともいえる名門ブランドの身売りに、現地では
波紋が広がっています。


1台が最低でも1000万円前後はするという超高級ピアノ「ベーゼンド
ルファー」。深みのある豊かな音色は、作曲家のリストがこよなく愛し、
あのマイケル・ジャクソンビリー・ジョエルも所有しているという世界的
な名門ブランドです。


ベーゼンドルファーのピアノは、一つ一つの部品に至るまですべてが
手作り。およそ200年の伝統を誇り、その存在はウィーン市民の誇り
でもあります。ウィーンの人たちからは、「伝統ある地元のブランド企業
をなぜ海外に売り渡すのか?」といった声が聞かれます。


名門ピアノメーカー買収、ウィーンに波紋 (22日16:58)
ttp://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3739087.html


ここで挙げられているのは「リスト」に加えて、「マイケル・ジャクソンビリー・ジョエル」である。「ウィーンの誇り」なのに、オーストリア出身でもなくウィーン系作曲家と特に関係が深いわけでもなく、ベーゼンの端麗な響きが求められるクラシック音楽とはほとんど関わりないポップミュージシャン(?)であるマイケル・ジャクソンビリー・ジョエルを挙げたのでは、説得力がない。この記事を読んだ読者には、金持ちの道楽の高級ピアノとぐらいにしか思われないのではないか。


ところで、ヤマハはこの買収で何がしたいのだろう?

ヤマハの梅村充社長は21日、日本経済新聞社とのインタビューで、オーストリアの名門ピアノメーカー、ベーゼンドルファーの買収について「4年で単年度黒字、10年以上かけて累積損失を回収したい」との見通しを明らかにした。米国市場を特に有望視しており、「ベーゼンドルファーのピアノにヤマハの自動演奏機能を組み合わせて2年後の発売を目指す」と今後の戦略を語った。(


ベーゼンドルファー買収「4年で単年度黒字」・ヤマハ社長見通し
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20071222AT1D2104H21122007.html

ベーゼンに自動演奏機能やサイレトピアノの機能は鍵盤のタッチが変わるから正直いらないと私は思うのだが。