エロゲー製作は大変ナリよ(7)


# rita 『アリスソフトのSystem3.x/4.xについての言及に期待age。
実際開発に使ったこともあるのでかなり好きな環境なんですが。
3DでSys4.xのような環境作ろうと現在奮闘中なので、どのような評価を
されてるのか知りたいところです。』

残念ながらSystem3系の商用利用は別途連絡が必要(おそらく別途ライセンス料が必要?)だったので、私の眼中には無かった。ごめん。


当時、候補として考えられたフリーのノベルエンジンとしては、吉里吉里NScripterぐらい。あとメジャーなシステムとしてはVisualArtsのAVG32があった。


萌えるゲーム制作 吉里吉里/KAGで作る美少女ゲーム
「吉里吉里/KAG」で乙女ゲーム・BLゲームを作成する 同人ゲーム制作ガイドブック基礎編:「橋の上の王子様」を作る

吉里吉里は、最近であれば月姫に採用されたりしているし、その実装技術の高度さは目をみはるものがある。


RGBA8888の32bpp*1のバックサーフェースを持っていて、ソフトウェアでPhotoShopのレイヤ重ね合わせのようなことをやっていた。レイヤのエフェクトが豊富なのも特徴で、早い段階でoggをサポートし、自前の高圧縮率の画像圧縮フォーマットを実装していたこと、そして、自前のスクリプト言語(ガーベジコレクタ付きの!)を実装していることなどからも作者のW.Dee氏の技術力の高さをうかがい知るには十分だろう。


Lua 5.1 Reference Manual
Game Development with Lua (Game Development Series)

言うまでもなく現在であれば、この手のスクリプト言語は自作せずに、Luaをそのまま採用したり、C#のリフレクションなりで実装するのが、有力だと思う。(そういう安易な実装を好まないのが、職人気質のプログラマなのだろうけども…。)


当時の吉里吉里の弱点は、当時のマシンにとって遅かった、ということに尽きる。バックサーフェースが32bppだったので、ユーザーが16bppの画面モードで動かしていても、32bppのバックサーフェースから転送するのだから、バックサーフェースをユーザーの動作モードと同じbppで保持する描画エンジンに比べて半分ぐらいのFPS*2しか出なかった。*3



(つづく)

*1:bpp = Bits Per Pixel : 1ピクセルあたりのビット深度

*2:FPS = Frames Per Second : 一秒あたりの描画フレーム数

*3:と思う。当時、実際に調べたわけではない。当時の吉里吉里でも更新された矩形部分のみを描画する機能(俗に言うdirty rect)は実装してあったと思うので、画面にあまり更新がないタイプのゲームでは十分だと思われる。