「標準DES」と言う用語を誰が捏造したのか

私は、とあるオンラインの決済システムの仕様策定に携わっている。


仕様書をざっと見て仕様書の不備を突っ込んだら、担当者から「ここは、標準DES暗号なんだから暗号文字列の先頭2文字がseedになっているに決まってるでしょ。」なんて見下し加減に言われた。


えっ?DES暗号に“標準”なんてあるの?鍵のサイズにしても56bitに限らないでしょうに。鍵のサイズは56bitのものが一般的に使われると言うのは百歩譲ってそうだとしても、そもそも、なんで、先頭2文字がseed?どうして、それが標準だと思ってんの?


突っ込んでいくと、相手からphpの日本語マニュアルのcryptのところに「標準DES暗号」という用語が使われていると指摘を受けた。そんな用語あるわけないでしょうに!と思いながら見てみると…。


標準DES暗号crypt()は、出力の最初の2文字をsalt として使用します。

えっ?それおかしくない?この部分の原文を参照してみると、「標準DES暗号」と書かれている部分は、原文では「The standard DES-based encryption crypt() 」と書いてある。これは定冠詞theがついていることからもその冒頭にある「 the standard Unix DES-based encryption algorithm 」(標準的なUnixのDESに基づくの暗号化アルゴリズム)を置き換えてあることは明らかだ。


phpの日本語マニュアルは、「標準DES暗号」があたかも存在するかのような錯覚を与える悪い訳文だと思う。このせいで、相手は『「標準DES暗号」というものが存在して、それがphpのcrypt関数である』と思い込んでいたわけだ。


果たして、「標準DES」と言う用語を捏造していたのは誰なのか?