ひげぽんと(3)

ひげぽんが今回のレポートをアップしてくれたので、興味のある人はそちらも見るべし。(→id:higepon:20050908:1126177597)


アルコールが入っていて何をしゃべったかあまり覚えてなかったのだけど、もう一つ思い出したので以下に書いておく。


年々、コンピュータって進化してるやん?そして、誰もがコンピュータは速くなって行ってると思っている。ムーアの法則通りに18〜24ヶ月で半導体の集積密度が倍、あるいは性能が倍になっていくと信じられている。現在それくらいのペースで進化してるし、将来的にも、あと10年やそこらはそんなペースで進化していくと楽観視されてる。でも違うと思うねん。ホントにシビアなプログラミングをやっているなら、コンピュータはむしろ年々遅くなってることに気づく。


「どういうことやねん?」と思われるかも知れないけど、それが私の正直な感想なんよね。プロセッサは確かにそれくらいのペースで性能向上してるけど、メモリがちーとも速くならない。プロセッサの進化するスピードからすれば相対的に遅くなっている。この傾向は今後もますます加速される。大量のメモリにアクセスすることが必要不可欠であるようなプログラミング領域においては、この傾向が特に顕著で、マウスコンピュータでたかだか3万円で買えるパソコンと、プロセッサだけで20万以上もするパソコンとの速度差が2倍にも満たない。要するに、最新鋭のマシンのコストパフォーマンスが非常に悪いと言うことも出来るし、低価格帯のパソコンがそれなりに頑張っているということも出来ると思う。


私のプログラミング人生て、正直ゆうて、もう小学生のときに燃え尽きてしもとるのよ。子供のころから記号言語学に興味があって、中学に入る前にChomskyの生成文法を勉強して英文の自動翻訳プログラムをBASICで書いた。いま考えれば、文法に従ってPrologのようにbacktrackしながらreductionしてくだけの簡単な英文翻訳なんだけど、単語を200個ほど登録するともうメモリがいっぱいになってそれ以上登録できなかった。本当は意味のシソーラスを持たせて、それぞれの単語間の関連性をmatrixで表現することを考えてた。だけど、当時のパソコンは自分の夢を託すにはあまりにも非力すぎた。


ひげぽん。ひげんぽんは、泳ぐのが好きみたいだけど、5m四方しかないプールで泳ぎたいという気持ちになるやろか?


それと一緒やと思うねん。与えられた環境が自分にとって不足ならば、環境が変わるのを待てばいいと思うねん。特に、パソコンは日進月歩だと信じられていたから、そのまま“プール”の上で寝ているだけで“プール”はどんどん広くなる。それを待てばいいと思ってん。


私の尊敬する詩人が「どの夏も、仮死せしめた者だけが勝利者だ!」と私に言った。だから、あのときから自分のプログラミングに対する熱意を凍結させ、じっと仮死して待ってるねん。パソコンが自分のしたいようなプログラミングが出来るだけのスペックになるのをな。そして、いまだに、その時は来ない。ひょっとすると一生、そういう機会は訪れないのかも知れない。残念だけど。