日常語に見られる将棋用語

「将棋倒し」という言葉があまりテレビのニュースで使われなくなった。(id:mozuyama:20050213:P20050213DAOSHI)


かと言って、「地下鉄のエスカレータで14人が将棋倒し」だとか、「将棋倒し」以外の何ものでもないわけで、「転倒」と書かれると、「それは何か別のものなんじゃないか?」と思わざるを得ない。経済学ではdomino effect(ドミノ効果)という用語があるが、「地下鉄のエスカレータでドミノエフェクトが発生した」では意味不明だし、「地下鉄のエスカレータでドミノ倒しになった」では、今度は日本ドミノ協会がクレームをつけてきそうな気がしなくもない。


そんなわけで、今日は、トリビアとして日常語として知らず知らずのうちに使っている将棋用語を紹介しようと思ってた..のだけど、悲しいかな、そんなに無いのよね。まあ、ありきたりなところから。


「成金」(なりきん) : 将棋で駒が成って金将と同じ働きをするもの。転じて、「急に金持ちになること。また、その人」のことを言う。皮肉めいた意味で使われることが多い。 例)「あいつはIT成金だ」


「高飛車」(たかびしゃ) : 将棋で飛車を前方に高く進め強圧する戦法をいうことから、相手を頭ごなしに威圧するさま。高圧的。批判をこめて使われることが多い。 例)「あいつは高飛車だ」


捨て駒」(すてごま) : 将棋で局面を有利に展開するため、相手に取られることを承知で打つ(動かす)駒。駒を最大限に活用するという意味で将棋においては欠かせないのだが、世間では悪い意味で使われることのほうが多い。 例)「あいつは捨て駒だ」


「王手」(おうて) : 将棋で、直接相手の王将を攻める手。転じて、「相手の死命を制するような手段」の意味で使われる。例)「あいつには王手がかかっている」 ただし、有段者の将棋では王手をかけたほうが負けることが多いのでこの使い方は正しくない。(という説がある)


とまあ、なんだかいい意味/正しい意味で使われていない用語ばかりだ。そんなわけでとっておきのトリビアはこれ。


「結局」(けっきょく) : 碁・将棋用語で、勝負の終わりの場面。「物事の最後の段階としての結果」の意味で使う「結局」も、これから。


どうだ!いかにもまともなトリビアっぽいけど、最近では碁・将棋の世界では「結局」なんて言わない。たぶん言ってもよほどのもの好きにしか通用しない。「終局」のほうを使うことが多い。あとは..


「碁に負けたら将棋に勝て」 : 一方で失ったらその事をくよくよせず、他方でとり返せというたとえ。


↑は、広辞苑にも載ってるんだけど、こんな言葉、いまどき使わないよね(´ω`)


おまけ。トリビアでも何でもないけど、誰もが将棋用語とわかって使っているであろう言葉。
「敗着」「緩手」「緩着」「手駒」「序盤・中盤・終盤」「棋道」「棋風」
「先手」「後手」「先手必勝」「定跡」「勝負手」「手合」「手筋」「待った」「角番」


将棋用語から派生したわけではないけど、将棋用語でも使う言葉。
「上手」(うわて)「下手」(したて) 「筋が悪い」「手が見える」「手拍子」