Lydian Chromatic Concept(3)

ちょっと専門的になりすぎたので、少しフォーカスを戻して話を続ける。


P5(完全5度)の堆積c,g,d,a,e,h,fis,des,as,es,b,f,cが、どうして12音すべてを1回ずつ使用しての循環になっているのかを考えてみよう。


P5とは、半音にして7個離れている音程のことを言う。周波数比で言うと 2^(7/12) ≒ 1.498307 である。これが1.5に非常に近い数であることは注目に値するのだけど、いまはこの話は置いておく。


cにとってgは、2^(7/12)倍の周波数。cにとって(オクターブ上の)dは2^(2*7/12)倍。以下、このサイクルのn番目の音は2^(n*7/12)倍の周波数だ。2^(12/12) = 2なので、これはオクターブ下の音と同じなので、結局、それぞれの音は 2^(m/12)で m = n * 7 mod 12 ということになる。(a mod b は aをbで割った余りを表す。)


7と12が互いに素なので、n = 0,1,..,11において、mは0から11を一回ずつ取る。これは初等整数論の教科書に書いてあるので説明は省略する。(背理法を用いれば簡単に証明できる。)


さらにP4(完全4度)についても考えておこう。P4は半音にして5個離れた音程のことである。その2音の周波数比は2^(5/12) ≒ 1.3348。これが4/3に非常に近い数なのは注目に値するのだけど、これまた横に置いておく。とりあえず、5と12が互いに素なのでさきほどと同様の理由により、P4の堆積も12音すべてを1回ずつ使用して循環することがわかる。P4 と P5は、半音5つ+半音7つで半音12個。つまり、オクターブなのでP5上がるのとP4下がるのとは同じ音になるから、P5の堆積による循環はP4による堆積の循環と逆順になる。


とりあえずP4,P5についてはわかったのでなぜジョージ・ラッセルがP5の堆積にそれほど固執したのかについて考えて行こう。(つづく)