日本コンピュータチェス協会(JCCA)について私が知っている100のこと(1)


※ 例によってこの「100」というのは誇大広告で、テキトーな数字である。


私は日本コンピュータチェス協会(JCCA)の会長をしていた馬場隆信氏が5年ぐらい前に亡くなられたと風の噂で知った。


「日本コンピュータチェス協会」と言ってもたぶん知っている人を探すほうが難しいだろう。しかし、コンピュータ将棋関係者ならば一度ぐらいは名前を聞いたことがあるかも知れない。


当時、この協会の会員だったコンピュータ将棋関係者の一例を挙げると


・「極」「金沢将棋」の金沢伸一郎氏
・「棋帝」の笠本正典氏
・「矢埜将棋」の矢埜雅俊氏


など、たかだか30人ぐらいのサークル活動(?)のわりには、非常に濃いメンバーだった。


例えば、このなかの笠本正典氏は、このJCCAの会誌に、羽生さんの対局棋譜から将棋のそれぞれの駒の価値を求めると言う記事を投稿されていた。


この内容は、氏がライターをしていた「PCマガジン」の1989年5月号に掲載された記事の下書き原稿的なものだったと思う。(PCマガジンのほうは私は創刊号から廃刊までずっと購読していたのだけど処分してしまったのでいまとなっては確認しようがない。)


この1989年5月号の記事に関しては、以下のblogでも言及されているのでこちらも紹介しておく。


かずの心の贅肉
http://vivio.blog.shinobi.jp/Entry/20/



「人間の対局棋譜から学習させて成功した例はBonanzaが初めて」だと思っている人が意外と多いが、そんなことは1989年にはすでに当時のコンピュータ将棋の開発者は行なっていたし、わりと妥当な数値が出せていた。(ただ、当時のマシンがあまりに非力だったので、棋力そのものはアマチュア5級ぐらいしかなかったが…。)


なので、コンピュータ将棋協会の山田さんの以下の部分は、私は正しくないのではないかと思う。

将棋の駒の価値を学習させる研究のほとんどは、「歩<香<桂<銀<金<角<飛」という常識的な価値判断から大きく乖離した結果しか導けませんでした。


ボナンザVS勝負脳: 404 Machine Learning Not Found
http://www.computer-shogi.org/blog/watanabe_vs_bonanza_404_machine_learning_not_found/

余談ではあるが、駒の価値については、将棋プログラム「棋理」の作者がEloレーティングを求めている。笠本正典氏がされていたことを現代風にやるとこうなるのだろう。


Crazy Stoneの論文の方法で,駒の価値のEloレーティングを求めてみました
http://d.hatena.ne.jp/yos92/20080203


このコメントで小宮さんが次のように書いているように、このEloレーティングはとても意味深いように思う。

改めてみると、香は成ると価値が下がるとか示唆に富んでる気もしますね
銀と成銀の価値に差がないのも頷けますし、意外に金の価値が大きいですね。
終盤は角より金の方が価値が高いらしいし……


(明日のエントリに続く)