盗難依頼


私がいま乗っているオンボロ自転車は学生のころに買った。かれこれ15年ぐらい乗っている計算になる。当時、面倒見のよい老夫婦が経営する古ぼけた自転車屋から購入した。そのお店はサイクリングしか売っておらず、それをママチャリ風に改造してもらうと24,200円だった。意外と高かったので良く覚えている。


バイクに乗った3人組のヤンキーに何時間も追いまわされたり、前輪を車に轢かれてひしゃげたりといろいろ思い出深い自転車である。


タイヤがパンクしたときは父に言うとすぐになおしてくれる。父は、定年まで自転車で会社に通い続けた。父は朝起きて、自転車がパンクしていたときは、(自転車で行かないと会社に遅刻するので)空気入れを担ぎ、何度も空気を入れながら会社まで行くこともしばしばだった。それゆえ、パンクを直すのはお手の物だ。


私の自転車はタイヤがすり減り、あまりにも頻繁にパンクするので、何度かタイヤごと交換してくれた。


思いっきり自転車を漕いだとき、ヤッターマンのアニメさながら、前輪のタイヤがぽろんと取れたことがある。まさに空中分解である。幸い無傷だったが、それ以来、全力で自転車を漕ぐのは自重するようにしている。


もとより前輪のスポークは錆びており、先日はゆっくり走っているにも関わらず、突然スポークがタイヤを貫通し、パァーン!と言う大きな音とともに破裂するようにパンクした。タイヤから突き出ているスポークを見て自分の目を疑った。


修理のため自転車屋に持って行ったら、スポークの交換は出来ないから、新しいのを買ってくれと言われた。父に相談したら、何軒かの自転車屋を回って、古い自転車の車輪をひとつ安値で譲ってもらってきて、それと取り替えてくれた。


前輪はどうにか直ったものの、後輪は歪んで変形しており、ゆっくり走っていても千鳥足の酔っぱらいのようになる。前籠は錆びのため3つの部品に分かれ、それをワイヤーで縫い傷を縫合するように結びつけてある。


この殺人自転車、いつ脱輪してもいいように心の準備をしながら、いつでも柔道の受身がとれるようにして乗っている。毎回ジェットコースター気分が味わえる。


ママチャリなら近所のホームセンターで6,400円で売られている。いい加減、盗難に遭ったら、買い替えようと思い、ここ3年ぐらいはいつも鍵をかけずにいるのだが、いまだ盗られない。早く盗ってくれ!と思っていたら、先日、雨の日に自転車に刺しておいた傘だけが盗られた。


傘は高いものではなく100円ショップで購入したものだが、


  100円の傘 >>> (越えられない壁) >>> 24,200円もした自転車


という図式が大変ショックだった。


この治安の悪い大阪府八尾市で鍵をかけなくても3年間も盗まれない殺人自転車。今日から「やねうらお」とテプラでフレームのところに貼っておくので、見かけた方はご自由にお持ち帰りください。速攻で死にたい方にマジお勧めです!