まともな日本語書いてこやんかい!


最近、本の監修やら何やらで他人の書いた文章をチェックすることが多いのだが、「まともな日本語書いてこやんかい!」と叫びたくなることがある。


いままで日本の国語教育では一番大切なことを教えてこなかった。


どういう文章が分かりづらく、読みづらい悪文なのかということについてだ。


その結果、かなり教養のある人ですら、全く自覚のないまま、読み手のことを考えてない、非常に読みづらい文章を生産し続ける。


彼らは、同一格助詞がいくつも連続していても気にもとめない。主語を省略して、その主語を一つの文の途中で他の主語に入れ替えても、それが読みづらい原因であることを理解できない。*1 正しくくびき構文を使えていない。*2 係り結びが離れすぎる。*3 指示語が指す内容が一意に定まらない。指示語が指す内容が複数形なのに「これ」とか書いてある。(「これら」と書くべきだ。) 指示語の指す内容が遠く離れ過ぎている。(文章を丹念に読めばわかるとしても、技術的な文章で読者にパズルじみた行為を強要するのは良くない。)


せめて、人前に己の文章を晒すなら、以下の3つの本ぐらいは読んでおけと言いたい。


日本語の作文技術 (朝日文庫)
実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫)
理科系の作文技術 (中公新書 (624))


ちなみに左に挙げた名著「日本語の作文技術」は新装版が出たようだ。私はこちらは読んでいないので内容については知らない。こちらは左の本(567円)に比べて定価が高い(1,470円)ので、左の本でいいようにも思う。


「中学生からの作文技術」は、「日本語の作文技術」のエッセンスが詰まった本で、「日本語の作文技術」を読まないのなら、最低限、これだけでも読みたい。


新装版 日本語の作文技術
中学生からの作文技術 (朝日選書)

*1:「AがBをした際には、CはDをする」という文を主語であるA,Cを省略して「Bをした際には、Dをする」と書いてしまう。BとDの省略されている主語が異なるのでこの文は非常に読みづらい。

*2:「AまたはBがCする」と書いた場合、これを数式っぽく表現すると(A+B)×C = A×C + B×Cである。よって、「AがCする」と「BがCする」の二つの文それぞれが表現として正しいものでなくてはならない。ところが、この構文に慣れていない人が書く文だと「AがCする」という表現が意味を成さないものであることが多い。

*3:例えば、「AがCしたときにBする」のCが長くて主語Aと述語Bとが離れすぎる。この文はCが長いなら「CしたときAがBする」となおすべきだ。