じゃんけんって普通党派組まね?

クリスマスセールでよく「じゃんけんで勝ち残った人だけが買える」みたいな催し物をやっているのだが、じゃんけんは党派を組むと非常に有利になるゲームだ。


たとえば、3人で党派を組み、そこに見知らぬ人を一人加えて4人でじゃんけんすることを考える。
こちらのグループの誰かが勝ち残る確率は、常識的には3/4の確率だが、次のような戦略にすればその確率は大幅に上がる。


1) いま党派を組んだ3人をそれぞれA,B,Cと名付け、残り一人をDと名づける。
2) A,Bはグーを出しCはチョキを出す。(このようにA,Bに対して負ける手をCが出す。何をどの順番で出すのかは事前に決めておく。)
3) このとき、Dがパーを出せばやりなおしだし、チョキを出せば負けだし、グーを出せば今度はA,Bとの対戦になる。


すなわち、Dは
・1/3の確率で負け
・1/3の確率でやりなおし
・1/3の確率で残り二人と対戦しなおし
となるので、やりなおしの分を無効として確率を考え、さらに三人ではなくN人として一般化して考えるなら次のようになる。


Dは、
・1/2の確率で負け
・1/2の確率で残りの(N-1)人と対戦しなおし
となる。


つまり、グループを組んでいるN人は負けても一人しか減らない。Dが最後まで勝ち残るのは、(1/2)**N ("**"は累乗を意味する)の確率である。


N=3なら、Dが最後まで勝ち残るのは1/8の確率である。すなわち3人で党派を組めばそのうちの誰かが7/8の確率で勝てる。
N=6なら、1-(1/2)**6 = 63/64 (= 98.4375%)の確率で勝てる。必勝と言ってもいいぐらいの確率だ。


ところがDも馬鹿ではないので同じ戦略を採る。仲間を連れてきてM人でやるわけだ。
上の考察で、グループは毎回一人ずつ減っていくことはわかった。


ゆえに、このとき、ひとりずつの削りあいになるわけだ。


例えば、N=9,M=7であれば、ひとりずつを6回削りあってN=3,M=1になる。そのあと上で計算したような結果になるので、前者のグループは7/8の確率で勝てるという計算になる。


ただ、16人も居たら、普通全員でじゃんけんしようだなんて話にはならないはずだ。


いくつかのグループに分かれてじゃんけんするだろう。あるいは、後者のグループは「少ないもの勝ちじゃんけん」などを提案するかも知れない。なんか長くなってきたのでこの場合の話は割愛する。


また、現実的には、仲間を連れてくるのにはコストとそれによって上がる期待値(←数学的な意味で)とを天秤にかける必要がある。


以上、連れてくる仲間が一人も居ないとクリスマスのじゃんけんセールを乗り切るのは大変だというお話でした。