僕はグラディウスで頭がさらにおかしくなった


久々にmixiにログインしたら、懐かしのグラディウスmixiアプリで登場していたので、私のグラディウスの思い出をつらつら書いてみたい。


「僕はドルアーガで頭がおかしくなった」(→ http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20090108 )のあと、私とその仲間のゲーマーを襲ったのはグラディウスショックだった。


グラディウスは、いまどきのシューティングからすれば、ぬるいタイプのゲームで、敵の出現位置を覚えておけば、あまり細かく弾をよける必要もなく、どちらかと言えば覚えゲーだった。


このゲームは、エンドレスになっていて、stage 7までクリアすると2周目のstage 1からはじまる。3周目以降はそれ以上難度が上がることはない。2周目以降は敵を倒したときに打ち返し弾がくる。結局のところ、1周目と2周目以降とで全く異なるパターンが要求されるが、覚えてしまえばそれまでだ。


このゲームで1,000万点(20周程度)を達成するポイントとしては、2周目以降のstage 2の最後のザブ抜けが最大のポイントとなる。ここは、敵(ザブ)を倒すと撃ち返し弾が飛んでくるので、この敵を撃たずにひたすらかわすという攻略が基本である。ここさえノーミスで抜けられれば、そのあとは楽勝なので、結局、ザブ抜けをいかに安定してノーミスで抜けられるかという勝負になる。


ザブ抜けには次の特徴がある。
・ザブの出現は完全にパターンがある。毎周同じ位置に同じタイミングで同じ順番で出てくる。
・2周目ではスコアが一定以下であったり、自機の装備が不十分だったり、dip switchでランクがmoderate未満に設定されていたりするとザブの発生が甘く、いくつかのザブは出現しない。(出現が省略される) このため、目印としていたザブが出現しなくてタイミングがわからなくなることもしばしば。
・ザブは、2秒前の自機の位置を狙って移動する
・バリアを張ると、バリアがザブにかすり、その打ち返しがかわせないので基本的にバリアは駄目。
・バリアを張って、撃ちまくる、撃ちまくりパターンというのがあるが、撃ち返しをバリアを吸収させないといけないのでザブの出現場所を完全に覚えている必要があり、よけまくりパターンより難度が高い。普通は、やらない。
・ザブ抜けに安全地帯は無い。


すなわち、このザブ抜けは、完全に覚えゲーなのだが、単に覚えればいいというわけではなく、2秒前の自機を狙うので自機の移動がわずかに早かったり、遅かったりすると、狙っている方向にザブが移動してくれない。これにより、自分の思い描いているパターンが崩れ、ザブがかわせなくなる。この2秒前というのが非常にくせもので、思い描いている方向にザブを移動させるのは至難の業である。パターン化を非常に難しくしている一因である。


この意味において、記憶ゲーであると同時にパターンを作れるかどうかのゲームなのだ。しかもシューティングのくせに、弾を撃ってはならないという過酷な条件で。このころにリリースされた弾を撃ってはならないシューティングゲームとしては、例えばナイトストライカー(Pacifist Bonusのため)が挙げられる。


当時、私と一緒にグラディウスをやっていたのは、ゲーセン仲間のM君だ。M君は、このあとパロディウスや極上パロディウスなど数々のタイトルで全国スコアを達成する。


そんな我々の関心事はもっぱらザブ抜けであり、どこそこに出現するザブを左上に誘導するだとか、自機の当たり判定はコックピットの赤い点だけだから画面の右端で上下の移動だけで交わすことが出来るだとか、ザブの出現位置はループしていて、2周半だとか、撃ちまくりパターンのときはどこそこのザブとどこそこのザブに要注意だとか、ビデオ撮りしてザブの出現位置を全部覚えようだとか、ザブの出現位置で暗記カードを作って、それで対戦しようだとか(いまで言う遊戯王みたいなものだ)、目隠しでBGMだけを頼りにザブをよけようだとか、ともかく、終始ザブ抜けの話ばかりだった。


岡山のS君がザブ抜けがうまいと聞けば、みんなで岡山に遠征である。東京のめぞん一刻氏(彼は8年ほど前に亡くなられたらしいが)が撃ちまくりパターンを見せてくれると聞けばみんなで東京に遠征するだとか、ともかく我々はザブ抜けのことで頭がいっぱいだった。


ザブ抜けさえノーミスで出来れば、そのあとはある程度の腕さえあればエンドレスに遊べるゲームだったので、ザブ抜けだけ私がやって、あとは誰かにやってもらうという日もあった。その日はシューティングゲームなのに私はショットボタンを一度も押すことは無かった。


ある日、M君はグラディウスの楽譜を手に入れたので、キーボード(鍵盤)で弾きたいと私に相談してきた。彼は四分音符すら知らなくて、五線譜のどこがドなのか確認するところからだった。そんな彼が真っ先に弾けるようになったのは、言うまでもなくザブ抜けのときのBGMだった。


当時の我々にとってのシューティングとは、もっぱらザブ抜けのことであり、弾を撃つのではなく敵の出現パターンをすべて覚え、そして自分なりのパターンを作り敵を交わすゲームのことを意味していたのだ。そして、そのために岡山に行ったり東京に行ったりするのも、キーボードでBGMが弾けるようになるための訓練も、そんなシューティングゲームの一部分だったのである。