自転車泥棒


ここ八尾市には、同じ自転車がいっぱいある。コーナンというホームセンターで自転車一台5,980円という超特価で売られていた時期があり、相当の台数、この自転車が販売されたからだ。


私もご多分に漏れずその自転車を購入したのだが、近所のスーパーに自転車を留めて買い物をして戻ってくると同じ自転車がありすぎて困る。今日も自分の自転車だと思って鍵を差し込んでみたが、鍵が開かない。壊れたのかと思ってガシャガシャやっていたら、「オンドレ、俺の自転車に何してくれんねん!」と恐いおっさんが言うではないか。よく見たら、確かにそれは私の自転車ではなかった。


私の自転車はその2台横にあって、本当に全く同じ自転車なので、そのおっさんも「ああ、同じ自転車なんやな」と理解したらしく、自転車泥棒の汚名はかぶらずに済んだのではあるが、今度はそのおっさんの自転車の鍵が開かない。「なんや、自転車の鍵壊れてしもたんか、こんにゃろ!こんにゃろ!」などと言っているではないか。


しかし、しばらくするとそのおっさん、何やらその自転車についているステッカーが自分の自転車のものと違うことに気づいたらしく、「あっ、俺のこれとちゃうわ」と言って、そのまた3台隣にあった同じ自転車に乗って帰って行った。


それを後ろで見ていたおばはんが、そのおっさんが鍵壊れてしもたと言ってガチャガチャやっていた自転車の鍵を開けて、「困るわ〜、この自転車、似てるのが多くて」と言ってその自転車に乗って帰って行った。似てるどころの話ではない。全く同じなのだから。