このブログは釣り堀です


昨日のエントリは「釣り」のつもりは全くなかったのだが、いま考えなおしてみると大きな釣り堀がぽっかりと出来ていたのかも知れない。


デザイナーらしき方からは「デザイナーをなめんな!」などとお叱りも頂戴している。それはごもっともである。「ズブの素人が1ヶ月でWebデザイナーになれる」というつもりは毛頭ない。昨日の記事で不愉快に感じた人が居たら、すまない。


また、Webデザイナーと言ってもピンキリであって、1ヶ月やそこらでは、ピンキリで言えば限りなくキリのほうである。本腰入れてやっている人に全く敵うはずもない。


それはともかく、私のCG歴(ツール使用歴)は、実は結構長く、Draw系はX1用のZ's Staff(20数年前)→X1用のダビンチ(20数年前)→まぐぺ→まるぺ→Photoshop4.0→Photoshop5.0→5.5→6.0→Painter5.0→Photoshop7.0→CS3だ。Photoshop用のplug-inを作っていたこともある。


CAD系は、ME10(CoCreate)→ICAD(富士通)→AutoCAD98→AutoCAD LT2000→SolidWorks98→SolidWorks2007で、大学卒業後しばらく製図/設計が本業だったので3Dのモデリングや造形物などはお手のものだ。構造物の強度計算から、金型の設計までやる。


たぶん、「デザイナーをなめんな!」と言っている人たちよりは長いことやっている気はする。


あと私は(このブログの常連なら知っているだろうが)プログラマ/Webデザイナーとして雇われる立場ではなく、雇うほうの立場なので、雇う側の視点として、「Webデザイナーを名乗るなら、これくらいは知っていてよね」という意味も含めて昨日のエントリを書いた。


それから、「プログラマだって、1ヶ月でなれるとか言われたら不快でしょう?(それと同じようにWebデザイナに1ヶ月でなれるとか言われたらデザイナーの人はカチンと来るのです)」とか諭されている(?)のだが、プログラマは1ヶ月でなれるかと言われれば、もちろん、なれる。 これもまた、ピンキリのキリのほうだが。


私は日立製作所で長年新入社員の研修を担当していた人と話したことがあるのだけど、その人が言うには大卒の新人なんて、(独学でやっていた人は別として)プログラムを出来るというレベルからはほど遠く、3ヶ月間の研修で教え込むらしい。これについては同感だ。この3ヶ月というのは、時間になおすと月160時間×3 = 480時間ぐらいだろうから、480時間 = 毎日16時間×30日と考えると、これは1ヶ月相当で、1ヶ月あればピンキリのキリにはなれるという計算が成り立つ。


具体的に何をどう勉強すれば、1ヶ月でプログラマになれるのかについては、別の機会に詳しく書きたい。


もう一つ余談だが、トラックバックで「一ヶ月で javascript actionscript html css を覚えるのはまぁ上っ面の付け焼き刃でいいなら、なんとかなるかもしれない。(つっこまれたら答えられず、職場では「口だけ君」と言われる)」とか言われているが、私はそうは思わない。


私はJavaScriptを覚えて2日目で、 オートコンプリート機能つきインプットボックス(→ http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20090307 )を作り、3日目で「はてな付箋」(→ http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20090308 )を作った。C++/Javaで鍛えられたプログラマにとってJavaScriptは1週間もあれば十分すぎると思う。たぶん、(鍛え上げたプログラマなら)1週間もあれば、V8エンジンのソースも相当読めるだろう。


C++は本当いま考えると地獄だったと思う。やっているときはあまり何とも思わなかったが(私はかれこれ20年近くやっている計算になるが)、templateの暗黙的な実体化の動作として何がどうなるのが正しい動作なのかを確認するためだけに英文のドキュメントを何十ページも読んだり、いろんな処理系で実験したりと、本当、正気の沙汰じゃない。


しかしC++亀仙人の胴着みたいなもので、ひとたび習得してみれば他の言語は何をやっても簡単に思えるから不思議だ。仕様書が1000ページ以下だと薄いと感じてしまうし、仕様書が日本語だとチャラいと感じる。感覚が完全に麻痺している。


あと、私自身はオールマシン語(アセンブラではなく16進数コード!)の時代からプログラムをやっているので、それに比べればC++で書かれたソースは遙かに読みやすく、5万行あろうが10万行あろうが全く苦とも思わない。そんな私なので、「こんなことは一週間あれば出来るだろう」だとか言った場合、普通の人とその感覚が全く違っていて「これは釣りだろJK」と思われるのも無理はない。


かくして、このブログには自然と「釣り堀」が出来るのである。


昨日のエントリで初めてこのブログに飛んできた方はどうか「やねうらお」という名前を覚えておいて欲しい。
次に不覚にも飛んできたときには「ま た 、 や ね う ら お か!」と叫んでブラウザをすぐさま閉じていただきたい。