なぜいま自費出版なのか

Linuxから目覚めるぼくらのゲームボーイ! コンピュータアーキテクチャシリーズという本を西田さんが自費出版をする。

第一弾は『GNU開発ツール』についてだ。おそらく、かなりマニアックな内容になること請け合いで、すぐに絶版になるだろうからどれだけ高くても入手しておかなければならないと思っている。

西田さんと言えば、『Linuxから目覚めるぼくらのゲームボーイ! 』などで有名だ。

では、なぜいま自費出版なのか?西田さんは、自費出版についてこう語る



私がかねてより手懸けたかったテーマは、「ハードウェアとソフトウェアの接点」なのですが、
市場の雑誌や書籍はいずれかの側に大きく傾いているために、これまで受け皿がありませんでした。

また、このページでも再三ご紹介している通り、過去の優れた書籍はことごとく絶版という憂き目に合っています。
著者と言えども、原稿がひとたび出版社にわたってしまえば、自分の意志で再版を決めることはできないのです。

レイアウトや書籍の装丁についても、ほとんどの場合は出版社におまかせであり、自分のイメージ通りの本を
納得いくまで、作り込める訳ではありません。

いまや猫も杓子も本が書ける時代になった。毎年出版される本の数は増え続け、書店の本棚は新刊で溢れる。おのずと書店で動きの少ない本がすぐに絶版に追い込まれる。これは、現代の出版の傾向として致し方ない。


だから、著者は内容を少しずつ修正して二版・三版と出していくのがいまの流通の仕組みに適ったやりかたなのだとは思う。しかし、そうさせてくれるかどうかは出版社の営業的な判断もあって難しい。売れることがわかっている本を書くことが出来る人にとっては、自費出版や電子出版というのもひとつの選択肢として見逃せない。


私が思うに、自費出版のメリットとは「再販のタイミングを自分の意志でコントロールできる」ということに尽きると思う。


それでは自費出版の費用とはどれくらいなのだろう?まぐまぐの自費出版は、1000冊、282〜288ページ、B5判、ソフトカバー、書店流通なしならば1,372,000円である。1冊1,372円が印刷代というわけだ。これを安いとみるか高いとみるか……。


自費出版の場合、出版社経由の場合にくらべて2割ぐらいしか売れないだろうから、そのへんも考えて価格設定しなければならない。どうしても割高になってしまうのは仕方ないが、絶版にならないかわりに定価が高くて読者に読んでもらえなかったり、書店で販売されないために発売されていることすら知られないで終わるとしたら、それは本末転倒である。


ともかく、西田さんは自費出版されることをすでに決められているわけで、そのことをここで議論しても仕方ないのかも知れない。我々に出来ることは、そのような自費出版される良書を少しでも自分のblogでとりあげ広く知ってもらうのに協力するぐらいのことである。