Ragnarok廃人伝説(3)

β2の終わりに、私の商人キャラのカートには、買取したカード(1 weight)の重量だけで4000 weight以上あった。つまりカードだけでも4000枚は保有していた。カードの平均単価を1Mzeny(zeny = ゲーム内の仮想通貨の単位。Mは百万の単位)だと仮定するとこれらがすべて実装された暁には、カードだけで4000Mz(=40億zeny)になる予定だった。ところが正式openになったときにアイテムリセットがあって、私の財産はすべてリセットされてしまった。これで、すっかり意気消沈した。


仮に、4000MzenyをRMT(Real Money Trade)で販売した場合、どれくらいの額になっていただろう?当時の相場で1Mzeny 500円程度だから、200万円ぐらいだろうか。命を削りながら半年ぐらいずっとゲームの世界に没頭して、かつかなりの努力とかなりの幸運に恵まれてやっと手に出来る金額、それが200万円なのである。私のような極限までの廃プレイですらそれなのである。しかもRagnarokではRMTはゲームの利用規約で禁じられているので、RMTが見つかると垢BAN(アカウントブロック)が待ち受けている。


だから、RagnarokRMTは、小遣い稼ぎにはなっても、商売としてはやっていけないことは明らかだ。(BOT使いは事情が異なるのかも知れない。これについては後述する) 私も、ゲームの世界で生きている気分になっていたので、リアルマネー欲しさにRMTに手を出す気はさらさらなかった。(むしろRMTでzenyを購入したいぐらいであった)


前述のかめごう氏は、「Ragnarokの世界にプロは居ない」と私に言った。かめごう氏の言う“プロ”とは、それを生業なりわいにしているという意味ではなく、おそらく高度な戦略性と情報力を持っている、というニュアンスなのだろうけど、生計を立てているという意味での“プロ”もRagnarokにはほとんど居ないのが実情だろう。


cheat(プログラムの改ざんなどによる不正)がこれだけ蔓延していれば、zeny自体のゲーム内の市場での安定性がなく、こうやって地道に稼いでいる間に極度のインフレに見舞われる。とてもリアルな意味での商売にはならない。また、Ragnarokは狩り(経験値稼ぎ)における戦略性も低く、単純作業の繰り返しとなる。これではプロとアマとの格差がどこにも現れない。(つづく)