涼宮ハルヒの憂鬱

涼宮ハルヒの憂鬱 (1) (カドカワコミックスAエース)
涼宮ハルヒの憂鬱 (2) (カドカワコミックスAエース)



まわりで話題になっているので「涼宮ハルヒの憂鬱」(漫画のほうね)を買ってきて読んだ。以下、ネタバレ含む。


この物語は過剰な自意識を持った少女ハルヒを中心とするセカイ系の物語だ。世界そのものがハルヒ想像界(ラカンの用語)であることを知ったキョンハルヒのご機嫌取りに奔走するのだが皮肉なことにこの世界の創造神たるハルヒ自身が宇宙人の存在なんて心底は信じていない。非常にご機嫌取りが難しいのに御機嫌をとらないと世界が消滅してしまうという緊張関係を「朝比奈みくる」という未来人(「みくる」は「未来」のモノグラムだろう)を巻き込みどこまで持続できるのかがこの物語の焦点だろう。


セカイ系と言えば『新世紀エヴァンゲリオン』『ほしのこえ』『最終兵器彼女』などがこれに当たる。この手の物語には、社会やイデオロギーを介在せず、個人と世界とが直結してしまう。別の言い方をすれば、想像界が直接的に世界の破滅に結び付くのだ。社会の仕組みは複雑で猥雑だから、そういう部分を避けられるものならば避けて通りたいという若者の持つモラトリアム性がこの手の物語を嗜好させるのではないかと私は思う。


私自身は漫画のほうの「涼宮ハルヒの憂鬱」にはそれほど感情移入できなかったし、面白くもなかった。小説のほうは面白いのだろうか?コメント欄で教えてちょうだい。