誰もスーパープログラマになんかなれやしない

javaもC++もC#もperlもphpもpythonもみんな使えるという人のなんと多いことか。彼らのようになれるわけないのに皆がなろうとする。というのは、興味深い指摘である。


例えば、id:ryoko_komachiは、「凡人が冴えた人たちを前に絶望しないために」というエントリ(id:ryoko_komachi:20060502)において、そういう人たちを見たときは『凡人の私としては、「違う星の下に生れた人々の物語」と思って(爪を噛みながらも)見なかった事にするしかない(笑)』と書いている。


私は、id:ryoko_komachiは、全然凡人じゃないと思うけど、ryoko_komachiは謙遜して自分のことを凡人呼ばわりしているのではなく、自分のまわりに凄いプログラマが多いので、本人は本気で自分の才能の足りなさを感じているのだと思う。それは私も似たような境遇なので痛いほどよくわかる。


私にしても、稲葉さんや、id:nucさんや、id:tanakhさんのような才能を目の当たりにすると自分の至らなさに失望する。自分は生きているだけの価値がないのではないかと思う。例えば、Teddyの五十嵐先生が、日記で

06/4/21 Bill
Billさんの前でプレゼンしてきました。前の晩に中国の国家主席を自宅に招いて、その後自分の飛行機でやってきたそうです。ほへー。機嫌がよいときと悪いときがあるそうなのでちょっと心配してたのですが、思ったよりふつー。一応面白がってみてくれたみたいなのでよかったです。 Rigidを見せたらExpressionのチームと話をするようにと言われました。うーん、そういう機会があるといいんですけどねえ。

なんて書いていると、やきもきしてしまう。どうして、私はビルゲイツに見せられるようなものをいまだ形に出来ないのか?どうして私はSIGGRAPHに論文ひとつ投稿できないのか?このままいたずらに齢を数えて良いのか?


私にしても少年時代は、少しは天才の片鱗を垣間見せていた。 それがいまやこの有様である。会社はそれなりに儲かってはいるけれども、豪邸が建つわけでもなく(建てようとも思わないけども)、27年もプログラミングをやってきて、まだ知らないことがいっぱいあるという状況にやきもきしている。


思うに、たぶん、誰もスーパープログラマになんかなれやしない。コンピュータサイエンスは、まだまだ未成熟で、細分化されておらず、あれもこれも出来て当然だと思われている。だけど、実際はあれもこれもするには、人生はあまりに短すぎる。ひとつの分野に10年ぐらいのスパンで集中して取り組まない限り、まともな成果なんて出せやしないというのに…。