うぬぼれてはいかんな

私も、雑誌で記事を書いたりする前は、「こいつぐらいには勝てるだろう」とか「この人とは同じぐらいの実力だな」とか漠然とした目標は持っていた。だけど実際に本を書いたり雑誌で連載したりすると自分の実力の1/10も出せないことがわかった。有名な話にこういうのがある。


「うめいとか、うまくねえとか他人(しと)のやってるのをきいて、
そういうことを言うについちゃァ、別にモノサシがあるわけじゃァありませんが、
まァ、他人の噺ィきいてみて、『こいつァ、俺よりまずいな』と思ったら、
まず自分と同じぐらいの芸ですよ。
人間にゃ誰だって多少のうぬぼれがありますからね。
『俺と同じくれえかな』と思うときには、向こうのほうがちょいと上で、
『こいつァ、俺より確かにうめえや』と感心した日にゃァ、
そりゃァもう格段の開きがあるもんですよ」


古今亭志ん生

私の場合、会社の営業やら経理やらを自分ひとりでしていて、本の原稿書いていて、企画の仕事して、仕事のプログラムも書いていて、部下が書いてきたプログラムのレビューをしたり、社員の面倒を見たり、外注の人に指示を出したり、接待で酒を飲んで二日酔いになったり、ピアノの練習したり、blogを更新したり、恋人の相手をしたりしながら、毎日本を数冊読んで、限られた時間のなかで、眠気と二日酔いとけだるさと戦いながら短い時間で原稿を書き上げている。ろくにサーベイする時間すらありゃしない。


普通に考えて、これでまともな記事が書けるほうがおかしい。読むに耐えるクオリティになっていればそれは奇蹟というものだろう。他のライターの人も同じような状況なのかも知れない。だから『俺と同じくれえかな』だなんて全然見当違いもいいところ。向こうのほうが断然格上。たぶん、向こうは間違いなく天才。私が『こいつァ、俺より確かにうめえや』と感じてた結城先生(id:hyuki)とかは、もう超天才。たぶん神。


そういや、私のC#2.0でのmix-inを行なう記事(id:yaneurao:20060113)も、id:ladybug:20060118さんやid:akiramei:20060120さんがフォローしてくれたのだけど、じっくり目を通す時間もないし、腰をすえて取り組まない限り彼らには到底追いつけないのではないかと正直思っている。