世界の中心でたこ焼きを食べる!(2)

だが、一番うまいたこ焼きをいきなり食べてもそのうまさは実感できない。味覚というのはおそらくは獲得形質であり、「これはおいしいものなのだ」と学習するプロセスが必要だからだ。


そこで、まずは「本家 大だこ」。ここは、標準的なたこ焼きだが、たこが大きいという特徴がある。まずは「このたこ焼きがスタンダードなのだ」と参加者に学習させるのが、主催者であるやねうらおの意図であった。


そして次に向かったのが「たこ焼きくん」である。ここのたこ焼きは、天かすをベースに、隠し味に白ワインを用いているという究極の一品である。NHKの料理番組でも取材に来たというほど味にこだわりを持っている。やねうらおは、「たこ焼きくん」が世界一のたこ焼きだと信じてやまないのだが、それでも焼きたてでなければ“究極”とまではいかないだろう。


また、客が少ない時間帯だと外皮が焼きすぎになっている可能性がある。はたまた平日だとアルバイトの経験の浅いおじさんが焼いていることもあって味にむらがある。その点、土曜の16:00ともなれば、客の回転率も良く、(経験の浅いおじさんでは客をさばき切れないので熟練のおじさんが焼いていて)ベストコンディションだ。おまけにこの日は適度な寒さだったので、この寒さにあつあつのたこ焼きは、まさに砂漠におけるオアシス的存在だと言えるだろう。(つづく)