やねうらお空白の10年間(2)


中学1年のときクラスメイトがパソコンを買った。SHARPのX1Fという機種だった。私は、パソコンなど知らぬ存ぜぬ、という顔で彼の家に遊びに行き、「ブラックオニキス」(The Black Onyx /発売元BPS)というゲームで遊ばせてもらった。


ブラックオニキスは、WIZARDRYを簡素化したRPGなのだが、これがまた面白かった。


私   「はっすん(その友達のあだ名)、このゲーム、面白いなぁ!パソコンって面白いな!」
はっすん「そやろ。パソコンて面白いやろ?」


もはや時代は彼のような若きパソコン肯定派によって変わろうとしていたのかも知れない。


私   「パソコンていいな!このヤクザの医者、ヤクザのくせに体力快復する薬とか良心的価格で売ってくれよるしな!」
はっすん「その“ヤクザイシ”って、ヤクザ・医師でなくて、薬剤・師だよ」
私   「?? ヤクザEC?」


彼が言っている意味が何かよくわからなかったが、ともかく私は彼の前でだけはパソコン肯定派になることが出来た。(つづく)