みっつ目は自分は呪われたプログラマであるということ(22)

the end of summer time


結局爆竹を買うことなく、H君ら4人をこっぱミジンコに吹っ飛ばすこともなく私の復讐劇は幕を閉じた。「じゅうまんえん」を見て、あたふたとするH君の顔が今でも忘れられない。私はそのとき夏休みの終焉を感じたのだ。だから次の日、私は普通に学校に登校することにした。もう自分にとっての夏休みは終わったのだから。


学校に行くとすぐさまH君ら4人が私に近寄ってきた。


H君「なあ、オレらにもマイコン教えてくれや。頼むワ」
私 「あかん」
H君「オレら、お前がすごい人間やってわかってん。オレらもマイコン勉強したいねん」
私 「あかん」


マイコンキチガイの趣味だと思っているマイコン少年の私と、マイコンの素晴らしさ(?)を垣間見て、興奮ぎみのH君との会話は平行線を辿った。


H君「なんでや?オレらではでけへんのか?オレらは頭悪いからでけへんのか?」

私 「違う。マイコンキチガイ”になるためには、“キチガイ”でなければあかん。H君らはキチガイになるには、あまりに、“ふつう”すぎる…」


そう言って私はいまにも泣き出しそうなH君らを後にした。長かった私の小学校最後の夏休みは1ヶ月遅れで本当の終わりを遂げたのだった。


「自分は呪われたプログラマであるということ」(完)