みっつ目は自分は呪われたプログラマであるということ(16)
教壇に立って夏休みの自由研究課題である「double index holeプロテクト」について発表する私を見るクラスメイトの視線は、まるでキチガイを見るときのそれだった。私がいつバットを掴んで暴れださないかを冷ややかに監視するかのようなあの目つきがいまも忘れられない。
次の日、男子生徒の誰かが家からワサビを持ってきた。別の誰かは生卵を持ってきた。誰かが私を校舎の裏に呼び出し、決闘になった。1 vs 4の。たぶん、彼らは昨日の私の発表が気に食わなかったのだろう。
当時、私は怖いもの知らずだったので、相手が4人であろうと勇敢に(向こう見ずに?)戦ったのである。いまにして思えば、その4人のなかの一人は、このあと中学になってから学校全体を仕切ることになるH君であった。とにかく戦ったのである。
5分後。倒れこんだ私にH君は馬乗りになり、私の目にワサビを塗りつけて、私のズボンのなかに生卵を割って入れてきた。(いまどき肉体系のお笑い芸人でもこんなことされないよ!)
どうして自分はこんな目に遭わなければならないのだろう..
これが自分がマイコンキチガイに生まれた報いなのか、とそう思った。
もう、こいつら全員ぶち殺してやろう!とそう思った。だって、どうせ自分はマイコンキチガイで、どうあがいたところで地獄に堕ちるしかないのだから。
とにもかくにも、私は「お前ら全員ブチ殺す!」と捨て台詞を吐いて逃げ去った。逃げ去る私めがけてH君らは近くにあった石を拾って投げてきた。私の目からあふれ出た涙は留まることを知らなかった。それはたぶんワサビのせいではなかった。(つづく)